コメの民間輸入量、25年は過去最多 国産米高騰で外国産に割安感
コメの民間輸入量が2025年に9万6834トンとなり、現行の枠外関税が設定された1999年以降で過去最多を更新した。財務省が29日発表した25年貿易統計(確報)で分かった。これまで最も多かった24年(1015トン)の95倍に急増した。
政府は95年度から、外国産米を無関税で義務的に毎年輸入する「ミニマムアクセス(MA)」の枠(現在約77万トン)を設定。MAの枠外となる国を通さない民間輸入は98年度までは許可制だったが、それ以降は枠外関税を払えば誰でも輸入可能になった。現在の枠外関税は1キロ341円に設定されている。
25年の民間輸入相手の約78%は米国で7万5638トン。前年(137トン)に比べ552倍となった。「令和の米騒動」で国産米の価格高騰が長期化し、外食産業や弁当などの中食産業を中心に高い関税を支払ってもまだ割安感がある外国産米の需要が高まったとみられる。
米国産米をめぐっては、昨年の日米貿易交渉でMAの枠内で米国産米の輸入を75%増やすことで合意している。合意はMAの総量自体は増やさない内容だったが、国を通さない民間輸入で多くの米国産米が入る形となった。
国・地域別の輸入量は、2位が台湾で7024トン▽ベトナム4567トン▽タイ4014トン▽インド2319トン――と続く。
月別輸入量は新米が本格的に出回る前の7月が2万6397トンと最も多くなり、次いで6月の2万979トン、8月の1万5168トンだった。新米の流通量が増えた10月以降は1000~3000トン台に減少しているが、単月で24年の1年間の数量を上回る高い水準で推移している。
政府はコメ政策について「需要に応じた生産」を掲げ、主食用の需給見通しを示して米価を高値に誘導してきた。農水省は24年夏以降のコメ不足について「新米が出回れば落ち着く」「生産量は十分ある」などと説明してきたが、昨年8月にようやく需給見通しを見誤っていたと認めた。事実上の生産調整がコメ価格の高騰と民間輸入の激増を招く皮肉な結果になった。
主食用の需給見通しについては現在も輸入米の需給状況は考慮されておらず、国産米の需給動向に影響を及ぼす可能性がある。国産米の高値が今後も続けば、外食・中食産業を中心に外国産に切り替える動きが加速しかねず、農家を悩ませる国産米離れが深刻化する恐れもある。【中津川甫】
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