「いつでも相談して」もアウト?部下のやる気をそぐNG発言11選
「昔は(パワハラが)当たり前だった」「最後は君の気持ち次第だ」――。こんな声かけが、部下のやる気をなくさせているかもしれないと、「組織風土」をコンサルティングする「スコラ・コンサルト」(東京都)が警鐘を鳴らしている。
2000社以上の企業や公的機関を支援する中で捉えた「部下をげんなりさせる発言」には、どんなものがあるのだろうか。
◇「いつでもいい」と言われても
「どんなことでも、いつでもいいから相談に来て」
そう声をかけていたのに、相談もないまま、また退職届が出された。
入社3年目までに離職する若手が後を絶たず、理由を尋ねても判然としない。
ある企業が抱えていた悩みだ。
「なんとか若手の離職を食い止めなければ」
危機感を抱いた中間管理職は、「今にも辞めそうな」若手社員らと車座になって、ざっくばらんに話し合う機会をつくった。
出てきたのは、思いもよらない声だ。
「いつ見てもみんな忙しそうで、相談できない」
「いつでもいい、の『いつ』がそもそも分からない」
若手の吐露に驚いた。
「えっ? そこでつまずいていたの?」
相談したくなった時には、最初にメールか(無料通信アプリの)LINEで「今、お電話いいですか」と一報を入れ、相手の承諾をもらって電話するという方法もあるよと話すと、今度は若手が驚いた。
「そんな方法があるんですね」
◇「上から目線」に部下は敏感
「こんなやりとりを今まで何度も見てきました」と話すのは、「部下のモチベーションを下げる上司の発言」のチェックリストを監修したスコラ社の若山修さん(53)だ。
「会社を良くしようと考える上司は多いですが、一生懸命考えた上での発言でも、部下にどのような影響を与えているかまでは自覚していない人が多い印象です」
スコラ社が今年5月、社員数100人以上の企業に勤める男女2106人を対象に行ったインターネット調査によると、「1年未満で転職したい」と回答した人は、「転職することがありうる」「転職は全く考えていない」などと回答した人たちに比べて、次のように感じている傾向が顕著だったという。
「上司に相談しにくい」「同僚と相談や助け合いをしにくい」「公平性や倫理、コンプライアンスは重視されていない」
若山さんは「管理職であれば双方向のコミュニケーションの重要性については知っていると思いますが、なんとか部下と関わろうとしている人でも上から目線の意識が根幹にあるとうまくいきません」と指摘する。
経験に裏打ちされた発言であっても、自身が若手だった頃の時代背景や今の社会情勢を顧みずに関わろうとすると、「部下をげんなりさせるような」発言につながってしまうという。
◇どの企業でも「あるある」発言
若山さんがチェックリストを監修した「部下のモチベーションを下げる上司の発言」は「俺は聞いていない」「昔は(パワハラが)当たり前だった」など、全部で11種類ある。
部下に対し何種類使っているかによって「関係良好」「部下と溝ができている可能性大」などと判定する。
特に「古い価値観を語る」と「昔は当たり前だった」は、業界や規模を問わず「ほぼ100%の確率でどの企業でも遭遇します」と断じる。
「こうした価値観が理解できる同世代であればそれほど問題にはなりませんが、ポロッとこぼしてしまった相手が部下や若手の場合、反論できません。自分を理解してもらうことは難しい、という印象を与え、『そう言われても……』以外に受け止めようがないのです」
また、「報連相(報告・連絡・相談)をしっかりしろ」と「どんなことでも、いつでもいいから相談に来て」も「大抵の組織で口にする人が少なくとも1人か2人はいるかな、という印象ですね」と話す。
一見部下のやる気をそぐような発言ではなさそうだが、「しっかり部下から報連相を受けている上司はこのような言葉を口にしません。コミュニケーション頻度が高い部下と低い部下のギャップを、部下のせいにしている場合が散見されます。なんでも、いつでも、という言葉も、新入社員には分かりにくい発言です」と手厳しい。
◇「対等で気軽に会話」がカギ
では、どのように気をつけていけばいいのか。
若山さんが勧めるのは、立場や役職にとらわれない「フラットな対話」だ。
「なんでも細かく指示を出して管理したり、部下の成長を見据えて良かれと思ってやったりしても、上から目線がにじむ言動は一生懸命関わるほどに部下を疲れさせることになる可能性があります。こうした言葉が口をついてしまうこともあると思いますが、『と、私は思うけど、あなたはどう思いますか』と言葉を継ぐなど、とにかく相手の話に耳を傾ける姿勢が大切だと思います」
また、若い世代に対しても「たまたまイマイチな上司に当たったとしてもこういう発言を知っておくことで、『うわっ、出た』と受け取るくらいの余裕を持って、自分を大切にしてほしいですね」と話した。【山本萌】
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