全国唯一の「カール」製造工場、2026年12月に閉鎖へ 松山

2025/10/17 20:37 

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 人気スナック菓子「カール」を製造している「四国明治 松山工場」(松山市)が、2026年12月に閉鎖されることが分かった。カールは松山工場のみで製造しているため、松山土産としても大人気で、市のふるさと納税の返礼品にもなっている。関係者らは「“カールのまち”として売り出していたのにすごく残念で寂しい」と肩を落とす。

 明治(東京都)によると、松山工場は1937年に創業。カールは75年から製造しており、西日本地域でしか販売しなくなった2017年からは全国唯一の製造工場となった。同社は閉鎖の理由を「収益性や競争力などの経営基盤を強化するため」と説明。今後、カールは「明治 大阪工場」(大阪府高槻市)に製造が移管され、引き続き西日本地域限定で販売される。また、乳製品などを製造する「四国明治 香川工場」(香川県三豊市)も28年3月で閉鎖予定という。

 カールは、日本初のスナック菓子として1968年に発売された。最盛期(90年代)には売上額が年間約190億円にも及んだが、ポテト系スナック菓子の登場などで低迷。2017年から地域限定販売に変更し、製造が松山工場のみになった。

 市もカールをPRに活用。22年には道後温泉などの観光名所をデザインしたオリジナルパッケージ商品を作って土産物店などで発売した。23年度からはふるさと納税の返礼品に採用。購入できない東日本地域に住む寄付者からの申し込みが殺到し、予定数がすぐになくなるほど反響があった。寄付額は23年度が約4800万円(寄付額全体の2・6%)、24年度は約3500万円(同1・4%)だった。

 現在も人気の返礼品となっており、市の担当者は「生産終了になれば返礼品にできない」とし、野志克仁市長は定例会見で「松山の経済の活性化や知名度向上に大きく貢献していただいている。(閉鎖は)企業の経営判断だと思うが、影響があるので、引き続き生産していたたけるよう県と働きかけたい」と話した。

 松山土産としても人気のカールは、各土産物店にずらりと並ぶ。市内の商店街にある「観光物産館」によると、懐かしさなどから購入する観光客が多く、1カ月で100袋以上が売れており、箱ごと買い求める人もいるという。スタッフの守屋麻紀さん(53)は「今後は土産物として売れなくなるのが悲しい」と話していた。【広瀬晃子】

毎日新聞

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