出場停止が一転猶予に、識者「トランプ氏のいつものこと」 W杯
サッカー・ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会に出場している米国のFWバログン選手(モナコ)の出場停止処分に猶予が付けられた対応を巡っては、識者からも異例の措置を疑問視する声が上がっている。
バログン選手は1日の決勝トーナメント1回戦でレッドカードを受けたが、5日に国際サッカー連盟(FIFA)が出場停止処分の1年間猶予を決めたことで、6日の2回戦、ベルギー戦への出場が可能になった。
ロイター通信などは、トランプ米大統領がFIFAのインファンティノ会長に電話をして、処分の見直しを要請したと報じている。
米国政治が専門の上智大・前嶋和弘教授は今回の事態について「事実だとすれば(自ら介入し、都合が良い方に転換する)トランプ大統領のいつものパターンだ」と指摘する。
FIFAは新設した「平和賞」を贈呈するなど、大会前からトランプ氏にさまざまな形で配慮して関係構築を図ってきた経緯があるだけに「特別に驚くことではない」と受け止める。
ただ、大会の公平性への疑念が浮上する事態に、次戦で米国と対戦するベルギー・サッカー協会が「決定に驚いている」と声明を出すなど、困惑と反感は世界中に広がっている。前嶋教授は「他国の反発は必至だろう。トランプ政権下の米国で開催した今大会を象徴する事案の一つになった」と語った。
また、フランス文化研究者でサッカー関連の著書もある陣野俊史さんは「FIFAが本来果たすべきものと異なるガバナンス(組織統治)が機能してしまっている。FIFAは何をしているのか」と首をひねる。
米国は今大会、政治的緊張関係にあるイラン代表チームに対し、米入国を試合前日(1次リーグ第3戦は2日前から)に制限した。陣野さんは今回の出場停止の猶予も「ほぼ同じ出来事だと思う。米国でサッカーをするということは、そういうことなのか」と指摘し、主体的に対応しないFIFAの姿勢に疑問を呈した。【川村咲平、江連能弘】
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