スピードスケート野明花菜「最高の恩返し」 両親も五輪出場

2026/02/22 19:15 

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 ミラノ・コルティナ冬季オリンピックで、日本はスピードスケートで3個のメダルを獲得した。初の五輪で銅メダルをつかんだのが女子団体追い抜き(パシュート)に出場した野明花菜(はな)選手(21)=立大=だ。両親はともにオリンピアンで周囲の期待をプレッシャーに感じた時もあったが、同じ舞台に立った後、こみ上げてきたのは感謝の思いだった。

 五輪デビューはいきなりメダルがかかる大一番となった。17日のパシュート3位決定戦。野明選手は「緊張で頭が真っ白」のままスタートし、直後につまずいた。「やばい」と焦ったが、後ろの佐藤綾乃選手(29)=ANA=に「落ち着いて」と声をかけられ、踏ん張った。終盤も脚が限界を迎えてバランスを崩したが、前を滑る高木美帆選手(31)=TOKIOインカラミ=の背中を必死で追い、米国を振り切った。

 パシュートは3大会連続での表彰台となったが、野明選手は「緊張で自分が自分じゃない感じだった。偉大な先輩のおかげ」と反省しきりだった。それでも、佐藤選手は「自分で立て直した。緊張してもメダルを取れたのは野明の強さ」と評価し、高木選手は「ともに戦う仲間」とたたえた。

 長野県下諏訪町出身。両親はスピードスケート選手で、五輪には父の弘幸さんが1998年長野大会と2002年ソルトレークシティー大会に、母三枝さん(旧姓・上原)が92年アルベールビル大会と長野大会にそれぞれ出場した。

 野明選手も両親から指導を受け、小学生からスケートに打ち込んできた。だが、成績が思うように伸びず、オリンピアンである両親の存在を重荷に感じた時期もある。けがに苦しみ、スケートをやめようと思った時もあったが、「中途半端なまま終わりたくない」とリンクに向かい、パシュートのメンバーとして日本代表に選ばれた。

 ミラノ入り後に感じたのは五輪独特の緊張感だった。女子500メートルと1000メートル銅の高木選手の滑りを目の当たりにし、「五輪は中途半端な気持ちで立つ場所じゃない。自分の全てを最大値まで持っていって立つ場所」だと実感した。

 それと同時に、この舞台で戦った経験がある両親の存在も素直に受け止められるようになった。

 メダルを手にした後、両親や支えてくれた人たちへの感謝で胸がいっぱいになった。「1人でここまで来られたわけではない。最高の恩返しができた」

 団体種目で一つ結果を残し、次回大会では個人種目での出場を見据える。再び4年後を目指す日々が始まる。【ミラノ山田豊】

毎日新聞

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