軟式高校野球 史上初の4連覇狙う中京監督「やっとスタートライン」

2025/08/22 10:23 

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 兵庫県で24日に開幕する第70回全国高校軟式野球選手権大会(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社など後援)で、中京(岐阜)が史上初の4連覇を目指す。4連覇に挑むのは2回目だが、前回はあと一歩届かなかった。

 最初の3連覇は2017~19年、中京学院大中京の名で出場した第62~64回大会だ。新型コロナウイルスの感染拡大で中止となった20年を挟み、21年の第66回大会は決勝で作新学院(栃木)に0―1で惜敗した。翌22年から3年連続で頂点に立っており、今大会で再び偉業に挑む。達成すれば、歴代最多の14回目の優勝となる。

 部員(選手39人、マネジャー2人)を率いる平中亮太監督(44)は、学校のある岐阜県瑞浪市出身。中学3年だった1996年、5年ぶりに大会を制した同校(当時は中京商)に「硬式野球だけでなく、軟式にも日本一ってあるんだ」と刺激を受け、進学を決めた。自らも2年時と主将を務めた3年時に優勝を経験。大学卒業後に母校へ戻り、部長、コーチを経て07年、恩師からバトンを引き継ぎ監督に就任した。

 以来18年間で9回、チームを頂点に導いた。14年の第59回大会では、準決勝で崇徳(広島)を相手に指揮を執り、延長五十回の球史に残る熱戦を制した。豊富な経験を通して、「硬式は能力による部分もあると思うが、軟式は工夫次第でレギュラーになれる。なれなくても、守備専門や代走など努力次第で自分の生きる道が見えてくる」と軟式を「人生」に例える。

 毎年メンバーが入れ替わる高校スポーツでの連覇は、簡単ではない。大会の歴史を振り返っても、3連覇は中京以外では平安(第4~6回、現龍谷大平安=京都)だけだ。ライバル校も「打倒・中京」を掲げて向かってくる。平中監督は「だからウチも進化していかなくてはいけない」とレベルアップへの努力を惜しまない。

 09年には、忘れられない敗戦も経験した。前年の第53回大会決勝は作新学院と延長引き分け再試合にもつれ込んだ末、準優勝に終わった。レギュラーの大半が1、2年生で「来年こそは日本一」と鼻息を荒くしていたら、県大会の初戦で負けてしまったという。「まだまだ、甘かった」と平中監督。作新学院の黒川陽介監督(当時)から「365日一生懸命、毎日の取り組みが全て」などと助言され、以降は「こつこつ地道に」を心掛けてきた。

 それは、野球にも表れている。安打が出なくてもファウルで粘り、走者が出たらゴロを転がして次の塁を狙う。仙台商(宮城)に2―0で競り勝った前回の決勝では、放った安打はわずか2本だったが、安打で出塁した走者を犠打や盗塁などで三塁に進め、内野ゴロで生還させる中京らしい試合運びだった。

 「全国大会に行けるかどうかも怪しくて。ずっと『弱い、弱い』と言われてきた」。稲垣和真主将(3年)が振り返るように、今チームも昨秋は東海大会準決勝で静岡商に、今春は岐阜県大会決勝で恵那に、それぞれ敗れた。それでも、日々の厳しい練習と強豪校との練習試合で経験を積んで次第に仕上がり、8大会連続28回目となる全国への切符をつかんだ。

 平中監督は「やっとスタートライン」と語り、稲垣主将も「まだ弱い、ここからが勝負」と引き締める。

 初戦は24日午後2時半、兵庫県姫路市のウインク球場で倉敷工(岡山)と対戦する。【中田博維】

毎日新聞

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