県岐阜商4番・坂口は米国留学へ 「野球は高校で最後」 夏の甲子園

2025/08/21 16:27 

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 全国高校野球選手権大会の準決勝で敗れた県岐阜商の4番・坂口路歩(ろあ)選手(3年)は21日の試合後、「野球は高校で最後にする」と語った。経営を学ぶため、米国への留学を考えていることも明かした。

 準決勝でも五回に適時打を放つなど、存在感を示した今大会だった。

 ◇米国は「両親が出会った地」

 坂口選手は、祖父の清貴さん(73)が県岐阜商の選手として春のセンバツ大会に出場。曽祖母と祖母は県岐阜商出身、父の輝光さん(43)も野球部OBと、「県岐阜商一家」に生まれ育った。

 準決勝を三塁側のアルプス席から見守った清貴さんは、輝光さんにも坂口選手に対しても「野球をやるなら県岐阜商でやってほしい」と常々口にしてきたという。

 「それほど、地元で野球に携わっている人にとって『県岐阜商』は特別です」。清貴さんは語る。

 坂口選手もおのずと「幼い頃から県岐阜商への憧れを持っていた」という。

 一方、父は地元でTシャツなどのプリント加工会社を経営する。坂口選手は「コロナ禍でも社員第一でやっていた。尊敬しているし、自分もそうなりたいと思った」と話す。

 父への憧れも強く、経営を学びたいと、高校2年の時に米国への留学を決断した。米国は両親が出会った地でもあった。

 「(野球を)やめるのはもったいない」と引き留める声もあったが、両親は留学に賛成してくれた。

 野球は高校で最後にすると決めて臨んだ今大会。チームは準々決勝で春夏連覇を目指した横浜(神奈川)に勝利するなど躍進した。準々決勝は、延長十一回タイブレークの末、自身のサヨナラ打で試合を決めた。

 準決勝は日大三(西東京)に延長十回タイブレークの末、2―4で敗れたが、「甲子園に何としても出るという気持ちは、どの選手よりもあった。(準決勝で敗れ)めちゃくちゃ悔しいけど、ここまで来られてうれしい気持ちもある」と、すがすがしい表情で語った。

 米国では「漠然としか決めていないが、お父さんの会社を継ぐ上で重要なことを学びたい。いろいろな文化にも触れたい」と語る。

 夢の舞台を経て、新しい人生の第一歩を踏み出そうとしている。【深野麟之介】

毎日新聞

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