イチローさん「地球上の誰も想像できなかった」 米殿堂入り会見詳報

2025/01/22 14:00 

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 米大リーグ通算3089安打を放ち、アジア人で初めて米国野球殿堂に選出されたイチローさん(51)=本名・鈴木一朗、マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が21日(日本時間22日)、マリナーズの本拠地シアトルで記者会見し、球団のホームページで中継された。「満票」に1票届かなかった感想や、永久欠番になることが決まった背番号「51」への思いについて語った。イチローさんの主な談話は以下の通り。

 ◇トップ5のハイライト、達成感あった瞬間は…

 <殿堂入りした気持ちを>

 まず、2001年にMLB(大リーグ)に挑戦した年、この日を地球上の誰も想像できなかったと思うんですよね。言葉で言い表せないほどの気持ちです。

 <シアトルのファンに向けて>

 12年の途中まで(マリナーズで)プレーして、18年にシアトルに戻った時、迎え入れてくれた(ファンの)温かい気持ちはトップ5に入るくらいのハイライトでした。

 <日本人で初めての殿堂入り>

 (メジャー入りは)日本で7年連続首位打者を取ったタイミングだった。日本人野手の評価は、僕の1年目で決まるという思いを背負ってプレーした。3年間プレーし、周りからある程度認めてもらった感触がありました。日本人選手として初めてという点は、時間がたたないと何につながるのかは分からない。

 <野球人生で達成感があった瞬間は>

 (会長付特別補佐として現役のままフロント入りした)18年5月から、選手としてプレーできなくなった時間ですね。次の年を信じて練習だけを(して)過ごした。この時間はなかなか経験できるものではない。

 さらに19年の東京ドームでの引退です。試合が終わって何時間たっても、お客さんが球場にとどまってくれた。あの経験はこれからも僕の支えになると思います。

 <プロになったばかりの選手へアドバイスを>

 才能がある選手はたくさんいます。それを生かすも殺すも自分自身。自分を生かす能力が別にあることは知ってほしい。

 <51番は永久欠番になる>

 サインするとき、51が使えるのはめちゃくちゃうれしいです。51歳のタイミングも特別です。

 <ランディ・ジョンソン氏が背負った背番号でもある>

 街にとって、球団にとって、ファンにとって、この番号を汚してはいけない。51番を付けた選手が、普通の選手だったらランディ・ジョンソンに申し訳が立たない。覚悟はすごくありました。51番は、僕の中にすごく重く存在していた記憶があります。

 <(野球殿堂博物館があるニューヨーク州の)クーパーズタウンについて>

 初めて行ったのが01年。過去の選手と記録で交わることがあり、彼らが使っていた道具を見てみたい気持ちがありました。道具を触ることで話ができる感触があって、すごく気持ちいい体験として残っています。現代はストレスがたまる。そういう中で野球だけの街があって、心が洗われる。今の選手にぜひ訪ねてほしい。

 <満票にあと1票足りなかった>

 1票足りないのは、すごく良かったと思います。

 努力とは違うので補いようがないものだが、人っていろんなことが足りない。自分なりの完璧を追い求めて進んでいくのが、人生だと思うんですよね。

 別の話ですが、不完全であるのはいいなあって。生きていく上で不完全だから、進もうとできる。そういうことに改めて向き合えるのは良かったと思います。

 <大リーグで日本人選手が活躍する礎を築いた。現状をどう感じているか>

 僕が何を担ったか分からないですけど、初めての野手としての覚悟を持ってプレーしたことは事実です。でもその後は、日本人選手のために僕が何か(切り)開けるかとか考える余裕はなく、必死でした。

 僕が初めて(シアトルに)来てから25年目ですが、感覚的にはまだまだ(日本人選手が)少ないですよね。こんなに少ないのかという感触です。

 各チームに1人、2人いるくらいになっているんじゃないかと期待していました。まったくそこまで届いていないです。これは僕の感想ですね。

 <阪神大震災から30年。野球人生にどんな影響をもたらしたか>

 プロ野球選手は、結果を出さないと首を切られちゃう。チームが結束するってなかなかないんですよ。春から秋まで、チームが結束できたのはあの年(1995年)だけだと思う。

 神戸の変わり果てた街並みを見たときに、「自分たちに何ができるんだろう」とみんな考えました。

 僕たちができるのは、やっぱりプロ野球選手としての使命というか。思いが結束して、結果に残った。終わった時に、神戸のファンから感謝されました。ファンの方々との向き合い方が変わった出来事だった。

毎日新聞

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