営業期間2カ月のサウナ 地域で守り続ける「神秘の水風呂」

2026/08/11 08:15 

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 暑さが続く中、一服の涼を求めて、九州・山口の観光スポットや地元の味、伝統工芸を訪ねました。

 ◇大クスノキの清水

 「クーッ」

 サウナで温まった体を冷泉に沈め、男性は思わず声を漏らした。

 福岡県豊前市畑にある冷泉浴施設「畑冷泉館」。毎年訪れるという山口県下関市の男性(46)は「水がとても柔らかい印象。銭湯や普通の温泉施設の水風呂とは体の引き締まり方が全く違う」と笑顔を見せた。

 冷泉館には、隣接する「水神社」境内にある樹齢850年超の大クスノキの根元からこんこんと湧き出る清水が引き込まれている。

 湧出量は1日1000トン前後。水温は年間を通じておおむね15~16度で、うだるような猛暑の日でも変わらぬ冷たさを保つ。

 営業は7月中旬から9月上旬までの約2カ月間。その期間の短さもあり、一部のサウナ愛好家の間で「幻のサウナ」や「神秘の水風呂」と呼ばれる。

 ◇かつては「みそぎ」の場

 全国的に知られるようになったのは2022年ごろから。SNSや専門誌で取り上げられると県外からの来館者が増加。2000人程度だった年間入館者数は、24年には4666人にまで伸びた。関東や関西から訪れる人も珍しくなく、お盆や週末には入場制限を設けることもある。

 この湧水は、かつて修験道の聖地・求菩提(くぼて)山で修行した山伏や神官らが身を清める「みそぎ」の場だったと伝えられる。明治時代には地域住民が利用する冷泉浴場となり、農作業を終えた人々が体を休める憩いの場となった。1994年には現在の施設が整備され、地域に親しまれている。

 冷泉館を運営するのは地元住民でつくる「畑活性化協議会」。野口稔弘会長(51)はコメ農家で、本業の合間を縫って清掃や受付に当たる。「清らかな水を生む豊かな自然と、この場所の良さを次の世代に残したい」

 水神社の境内で湧水を持ち帰るための「霊水授与場」もひっきりなしの人気だ。人口減少が続く山あいの地域にあって、地域の人たちが代々守ってきた清水は、今年も訪れた人たちに変わらぬ涼を届けている。【出来祥寿】

 ◇畑冷泉館

 福岡県豊前市畑708の2。東九州自動車道椎田南インターチェンジから車で約10分。中学生以上500円、小学生200円、未就学児無料。午前10時~午後5時。8月末まで原則無休。9月は5、6日の土日に営業予定。電話(0979・82・0976)。

毎日新聞

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