豊橋の球場建設、反対住民ら提訴へ 「海沿いの公共施設整備」論点に
愛知県豊橋市が三河湾岸で進める新野球場建設に反対する市民らが11日、住民訴訟の原告団結成会議を開いた。名古屋地裁に17日提訴すると決め、原告団は少なくとも200人程度となる見通しが示された。
近年、海沿いでの公共施設整備計画への反対運動が各地で起きているが、法廷で争うのは全国初とみられ、他地域の市民団体も注目している。【永海俊】
◇住民監査請求は棄却
豊橋市内で開かれた会議では、代理人の福岡孝往弁護士が「わざわざ津波や液状化の危険がある場所につくる必要はない。この計画の違法性を訴えたい」と述べた。裁判では、今年度予算に計上された造成費など関連事業費7億円余りの執行差し止めを求める。
市民らは4月に行った住民監査請求で「計画地は『津波災害警戒区域』なのに避難計画が示されておらず、安全性が確保されていない」などと主張。これに対し、市監査委員は「外部意見も取り入れて安全性の確保に努めており、公共施設整備としての合理性を欠くとは言えない」として請求を棄却した。住民訴訟はこれを受けて提起される。
◇東日本大震災の「記憶の風化」懸念も
2011年の東日本大震災では、各地の公共施設が津波にのまれ、多数の犠牲者が出た。このため、大地震の発生が想定される地域では施設の高台移転が進んだ。
だが、近年は逆行するように、各地で海沿いでの施設建設が計画されている。背景には、防潮堤整備をはじめ津波対策が進んだことなどがあるとみられるが、市民からは「震災の記憶の風化」を懸念する声も出ている。
静岡県は浜松市内の海浜公園で県営野球場の建設を検討している。公園整備の基本計画では「震災を契機に沿岸部で防潮堤の整備が進み、(計画地の)篠原地区を取り巻く状況が大きく変化した」とした。
だが、市民団体「篠原地区に県営野球場はいらない市民の会」の桜井幸夫代表は「(公共施設の整備は)大災害での最悪ケースに備えて対策を取らなければいけない。本当に安全と言えるか疑わしい」とし、各地の施設計画について「震災直後にはありえなかった」と指摘する。豊橋市の裁判に注目したいという。
こうした計画を巡っては、市民参加による議論の不足も指摘される。住民訴訟の鈴木正広原告団長は「裁判は『入り口』で、大きな運動にしていくきっかけにしたい」と話す。
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