山林火災でも生きた「震災の経験」 岩手・大槌で振り返るシンポ
岩手県大槌町で4月に発生した山林火災をテーマにしたシンポジウムが20日、同町で開かれた。東日本大震災の民間資料館「大槌伝承の館(やかた)」が主催し、避難所運営に当たった町民が震災での経験が山林火災で生かされたことや、震災と火災の避難行動の違いについて語った。
伝承の館は震災の被災者支援を続ける麦倉哲・岩手大名誉教授(70)と、町民で震災遺族の倉堀康さん(42)が共同館長を務め、2024年6月に開館。この時期に開館記念行事を開いており、今回は約30人が参加した。
山林火災は4月22日に発生し、小鎚(こづち)地区と吉里吉里(きりきり)地区で計1708ヘクタールを焼損して5月29日に鎮火した。
シンポでは、吉里吉里地区で震災と火災で避難所運営に当たった地元公民館長の芳賀博典さん(74)、宮司の藤本俊明さん(76)ら4人が登壇した。
芳賀さんは、火災発生後すぐに地元婦人会が炊き出しをして避難者に食事を提供したことや、小中高校生がテントの設置や食事の片付けなど避難所運営を手伝ったことを紹介。「震災時の経験やその後の防災学習、地域の行事で長年助け合ってきた成果が出た」と振り返った。
藤本さんは、震災時は津波で自宅が流失したため避難所に大勢の人が集まったが、火災では、延焼の危険があったのに、日中は家に戻っていた人が多かったと報告。「夜になると暗闇の中で燃え上がる炎に不安を感じ、避難所に身を寄せる人が増えた」と分析した。
麦倉名誉教授は取材に「山林火災の避難は手探りの部分が多く、今後も掘り下げていく価値がある分野だ」と語った。【奥田伸一】
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