健康診断の誤通知、がん進行と「因果関係」 医療法人に賠償命令
健康診断は異常なしの「A」判定だったが、実は初期の肺がんだった――。健診結果の誤通知でがんの発見が遅れたとして、大阪府の60代会社員女性が健診を担当した社会医療法人に約4180万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は18日、法人側に約2220万円の支払いを命じた。西村欣也裁判長は誤通知と、がんの進行との間に「因果関係がある」と認めた。
判決によると、女性は2016年9月、大阪市の社会医療法人「愛仁会」が運営する健診センターで職場の定期健診を受け、胸部X線検査についてはA判定とされた。
実際には医師がレントゲン画像を見直した際、肺に影を確認し、C判定(要経過観察)に修正していたが、システム上、修正後の判定結果が反映されない状態になっており、誤ったまま女性に伝わっていた。
女性は翌17年の健診で精密検査が必要だとする判定を受け、大学病院でリンパ節への転移を伴うステージ3の肺がんと診断された。手術を受けたものの再発や転移を繰り返し、19年にはステージ4に進行。現在も治療を続けている。
高裁は、企業健診について「健康の維持・増進を目的とするものであり、結果は労働者に適切に報告されなければならない」と指摘。その上で、16年の健診当時、女性はステージ1の早期の肺がんだったと推認できるとし、健診結果が女性に適切に伝わって手術を受けていれば、5年は再発せず、19年にステージ4に進行することはなかった可能性が高いと判断した。
これらの事情を踏まえ、高裁は1審・大阪地裁判決(24年12月)が命じた440万円の賠償額を増額した。判決後、女性の夫は「法人側は上告せず、業務を検証してほしい」と話した。【斉藤朋恵】
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