地元と映画へ愛と情熱 高倉健さんも訪れた「松永文庫」 北九州

2026/05/17 07:15 

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 週末にちょっと出かけたい九州・山口の博物館や美術館、文化施設を紹介します。

 ◇資料総数は5万点

 明治から昭和初期の歴史的建造物が残る、北九州市の門司港レトロ地区に、映画ファンや研究者が全国から訪れる映画・芸能資料館がある。地元で海運関係の仕事をしながら、パンフレットやポスター、雑誌などを収集し続けた映画研究家、松永武さん(1935~2018)の私設図書館が元になった「松永文庫」だ。福岡県中間市出身の俳優、高倉健さん(故人)がロケの合間に訪れたエピソードは知る人ぞ知る。

 09年、松永さんが全資料を市に寄贈したことで、「文庫」は市の文化施設に。16年度には現役の映画批評家が選ぶ「日本映画批評家大賞特別賞」に選ばれた。その後、同大賞には、愛や志で日本映画の活性化に尽力した個人、団体を顕彰する「松永武賞」も創設されている。

 26年3月現在の資料総数はポスター約5500枚、パンフ約5800冊、劇場プログラム約4800冊、書籍・雑誌約1万冊--など計約6万6000点。松永さんのライフワークだった新聞記事のスクラップなどをスタッフが継承しているほか、24年に死去した映画評論家、白井佳夫さんが収集していた資料などの新たな寄贈もあり、資料は今も増え続けている。

 当初から松永さんと「文庫」を運営してきた学芸員の凪恵美さんは「終わりのない整理と作業だが、松永さんの地元と映画への愛と情熱を残し続けたい」と語る。

 所蔵資料を展示する企画展は年4回実施している。7月5日までは「読む物語から観る物語へPARTⅠ 日本映画資料展」。文学作品の映画化をテーマに、樋口一葉「にごりえ」、水上勉「飢餓海峡」、横溝正史「犬神家の一族」など約60点の貴重な映画ポスターなどを見ることができる。

 北九州市とゆかりの深い松本清張の「砂の器」、佐木隆三の「復讐するは我にあり」も目を引く。ポスターもパンフも可能な限り折り目は付けておらず、松永さんとその意志を継ぐ凪さんらの映画と紙媒体への愛情が垣間見える。【坂本高志】

 ◇松永文庫

 北九州市門司区西海岸1の3の5旧大連航路上屋内。入場無料。開館は午前9時~午後5時。月曜(祝日の場合は翌火曜)と年末年始など休館。電話(093・331・8013)。

毎日新聞

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