ノンバイナリーの戸籍記載、男女だけは「憲法に抵触」 大阪高裁

2026/05/12 20:29 

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 性自認が男女どちらでもない「ノンバイナリー」の50代の申立人が、戸籍上の記載を男女の区別に縛られない表記に変更するよう求めた家事審判の即時抗告審の決定で、大阪高裁(大島雅弘裁判長)が、男女いずれかしか記載できない戸籍の現状について、「法の下の平等を定めた憲法14条の趣旨に抵触し、是正すべき状態にある」と言及していたことが判明した。

 ただし、「どのような記載に訂正されるべきか、国民に共有された明確な指針が存在しない」として即時抗告を棄却し、申し立てを却下した1審・京都家裁決定(2025年3月)を支持した。代理人の仲岡しゅん弁護士は「ノンバイナリーの法的承認に向けた大きな第一歩だ」と評価しつつ、最高裁に特別抗告することを明らかにした。

 戸籍法は実父母との続き柄を戸籍に記載するよう定めている。申立人は女性として出生届が出され、戸籍の続き柄欄に「長女」と記載されたが、性自認に基づき、「子」といった表記に訂正するよう求めていた。

 高裁は8日付の決定で、性自認は個人の人格的存在に直結し、性自認に従った法令上の取り扱いを受けることは「重要な法的利益」だと指摘した。

 現行の戸籍は、男女のいずれにも当てはまらない性自認を持つ国民の存在を前提にしておらず、ノンバイナリーが戸籍の表示方法を変更する法的手段もないとし、こうした現状は憲法の平等原則の趣旨に抵触すると述べた。

 一方で、日本人の身分証明書ともいうべき戸籍は社会の基本インフラとして承認され、全国的に統一された運用を図ることが求められていると判断。ノンバイナリーの性自認に合致する戸籍のあり方や具体的な制度整備は立法を通じて行われるべきだとして国会に議論を促した。【岩崎歩】

毎日新聞

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