小笠原村、過去に2回国から打診 放射性廃棄物の処分めぐり
東京都小笠原村は1980年と2010年代半ば、原子力発電所から出る放射性廃棄物の処分に関し、候補地となることを断っていた。2度目は表面化しなかったが、今回、南鳥島の文献調査を国が申し入れたことを受け、当時を知る島民が口を開いた。少なくとも3度目となる今回の打診に、島民からは「納得いく説明を」との声が上がっている。
村に初めて打診があったのは80年。旧科学技術庁が9月、低レベル放射性廃棄物を試験的に海で処分することについて説明会を開いた。放射性廃棄物の海洋投棄は現在、国際条約により全面的に禁止されている。だが当時、比較的放射線量が低い低レベル廃棄物は禁止まではされず、日本でも検討されていた。
当時の説明会に参加した島民や資料によると、廃棄物を容器に詰めてセメントなどで固め、小笠原諸島周辺の深海域に沈める計画だったという。
村議会は「友達である海が汚染されることは賛成できない」と決議。漁業や観光業への風評被害を懸念し、科学技術庁長官宛ての陳情書でも、村長と議長の連名で「賛同するわけにはまいりません」と記した。
村で地上波テレビ放送が視聴可能となり、各世帯に普及したのは90年代後半。80年代は週に1便程度の船と同時に届く新聞や、本土の知人との電話など、限られた情報しかなかった。それでも島民が反対運動を起こし、Tシャツやステッカーも作成されたという。
ステッカーが今も自宅の扉に貼ってあるという宮川典継さん(71)は「若者中心に、他の島や内地の人とも連携し、海を守ろうと一丸となった」と振り返る。結局、周辺国の反対もあり、計画は中止された。
2度目は14~16年ごろ。複数の村関係者によると、原子力発電環境整備機構(NUMO)から村幹部らの一部に、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向け、南鳥島の調査について声かけがあった。だが森下一男前村長(21年に72歳で死去)が断ったという。
国は17年、核のごみの地層処分について「科学的特性マップ」を公表し、南鳥島を「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い地域」とした。母島育ちの島民で研究員の藤谷天蔵さん(25)は「断っていても再度(申し入れに)来るのはなぜか。マップを使った通り一辺倒な説明ではなく、『なぜ南鳥島なのか』の納得いく説明がほしい」と話している。【荒木涼子】
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