名鉄百貨店本店、71年の歴史に幕 東海地方初のターミナルデパート

2026/02/28 21:38 

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 1954年開業の東海地方初のターミナルデパート、名鉄百貨店本店(名古屋市中村区)が2月28日、閉店した。最後の営業を終え、正面玄関のシャッターが下りる際には、閉店を惜しむ人たちから大きな拍手が送られた。

 ◇開店前から長蛇の列

 営業最終日のこの日、午前10時の開店前から各入り口に計2000人以上の客が列をなした。犬塚篤史店長は最後の朝礼で「71年分の感謝を胸に、最後の1日を共に笑顔で締めくくろう」と呼びかけた。

 閉店セール中とあって、店内は大混雑。愛知県弥富市の野村尚代さん(57)は、「20代の頃、彼氏にジュエリーを買ってもらった青春時代の象徴の場所。最後の思い出作りで全館を回りました」とほほえんだ。家庭用品売り場で接客をしていたという元従業員、河村紀代子さん(82)=北名古屋市=は当時の思い出を振り返り「寂しくて涙が出てきます」と、閉店を惜しんだ。

 また、館内では「71年分の歴史展」が開かれ、歴代の案内係の制服や紙袋などを展示。来場者らが懐かしそうに写真に収めていた。メッセージボードには「この場所は思い出の宝箱です」などと買い物客らの思いがつづられた3万枚以上のカードで埋め尽くされた。

 最後の営業を終えた午後7時過ぎ、本館正面玄関前は、別れを惜しむ人たちでいっぱいに。従業員らと共に店の前に立った石川仁志社長が「名鉄百貨店を大切に思い、大事にしてくださったお客さま、すべての関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。また皆さんお会いしましょう」と述べると、大きな拍手が送られ「ありがとう」の声がとんだ。従業員らがお辞儀をするなか、シャッターがゆっくりと下ろされた。

 ◇オンライン販売は継続

 閉店後は、外商事業のほか、オンラインや郵送注文によるお中元、お歳暮、おせちなどの販売は継続する。名古屋鉄道のグループ会社が事業を継承し、従業員約420人のうち40人ほどが継続事業に携わる予定で、百貨店のロゴや包装紙も引き続き使用する。

 当初、2026年度から解体工事に入り高層ビルに建て替える計画だったが、施工業者の辞退などにより再開発計画は事実上白紙となった。

 そのため、百貨店の地下1階~地上1階部分については当面の間、改めて店舗を入れるなどして商業活動を継続する方針。現在1階にあるドラッグストアや土産店などの一部テナントも、営業継続が決まっている。

 一方、名鉄百貨店の隣で1998年から営業を続けてきた近鉄パッセ(近鉄百貨店名古屋店)も同日、名駅地区の再開発に伴い閉店した。【酒井志帆】

毎日新聞

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