「雇われたふり」で闇バイト捜査 25年に13件、5人逮捕 警察庁
警察庁は29日、警察官が身分を偽って闇バイトに応募する新たな捜査手法「仮装身分捜査」の全国での実施状況を初めて公表した。導入された2025年は13件を実施した。このうち特殊詐欺と強盗事件の4件で5人を逮捕し、これらを含む7件で被害の未然防止につながったという。
仮装身分捜査では、捜査員が交流サイト(SNS)上の募集に応じ、リクルーター側に架空の身分証を提示して「雇われたふり」をする。警察庁が25年1月に実施要領を策定し、5月に警視庁がこの手法を使って初めて摘発していた。
逮捕に至った4件の内訳は、詐欺未遂容疑が3件3人、強盗予備容疑が1件2人。いずれも犯罪に関与するため集合場所などに現れた実行役だったという。
このほか、逮捕には至らなかったが、捜査員が特殊詐欺の「受け子」役となって被害者に接触するなどして3件の被害を防止した。残りの6件は、具体的に犯罪の指示がないままリクルーターとのやり取りが終わるなどしたという。
実施状況を明らかにすべきだとの外部の指摘もあり、公表に至った。ただ警察庁は、捜査を実施した地域や時期、具体的な状況といった詳細は明らかにしていない。この捜査を使ったケースが犯罪グループに特定され、手の内をさらす可能性があるためとしている。
作成した架空の身分証は、紛失や目的外使用を防ぐための措置が取られていたといい、警察庁は運用上の課題は見つかっていないとしている。また、犯罪グループ側に身分を見破られて捜査員に危険が及んだ事例もなかったという。
警察庁は「実施要領に沿って運用されている」と説明。「逮捕後、突き上げ捜査で他の人物を摘発できたケースもある。強盗や特殊詐欺が発生する前の防止もでき、一定の効果があった」としている。
警察庁の楠芳伸長官は29日の定例記者会見で「匿名・流動型犯罪グループは、通信や金融サービスの匿名性を悪用して詐欺を実行しており、この匿名性の壁の打破が大変重要。この1年に得られた経験を生かし、仮装身分捜査にさらに積極的に取り組む」と述べた。
この捜査は、24年に首都圏で相次いだ闇バイトによる強盗事件を受けて導入された。闇バイトが絡む強盗や特殊詐欺に限り、他の方法では摘発や犯行の抑止が難しい場合に実施できる。警察官が応募者に交ざっていると犯罪グループに思わせる抑止効果も期待される。【深津誠】
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