減る取材先、対象広げ継続 神戸大生、震災遺族訪ねインタビュー連載
「もう逃げ出したかった」。31年前、神戸大の学生だった男性(53)は阪神大震災で全壊したアパートから親友の同級生の遺体が確認される場面に立ち会った。そのインタビューが今月、震災報道を続ける学生メディア「神戸大学ニュースネット委員会」のインターネットのホームページに掲載された。これまで遺族取材を続けてきたが、歳月とともに難しくなり、どうしたら「自分ごと」として震災が伝えられるのか模索した結果だった。
神戸大では震災で学生や教職員ら47人が犠牲になった。委員会は震災5カ月後の1995年6月に発足し、現在は部員7人で活動する。
2020年からは犠牲になった神戸大関係者の遺族を訪ねて、インタビューシリーズ「慰霊碑の向こうに」を震災の日(1月17日)の前に掲載してきた。これまで全国に散らばる19家族を取り上げ、震災31年に向けて5人の遺族に手紙で取材を申し込んだが、かなわなかった。「もう区切りがついたのでお話しすることはない」と断られたり、亡くなったり転居先不明のケースもあった。
部員たちは遺族取材の見通しが立たず、シリーズを終えるべきか、話し合った。「当時の学生の話はまだ伝え切れていない」という声が出て、全国の地方紙などの情報も集めて取材対象を探した。
◇友亡くし逃げ出した日
25年11月、亡くなった4年生の櫻井英二さん(当時22歳)の親友の公務員、坂上義典さん(53)=岡山県在住=が取材に応じてくれた。2人は愛媛県の同じ高校出身で、神戸大でも同じサークルだった。神戸で2人の下宿跡などを巡りながら、インタビューした。
1995年1月16日夜、坂上さんは友人とドライブに出かけ、櫻井さんを誘おうとしたが、部屋の明かりが消えていたので、やめた。翌未明に帰宅し、友人らと話し込んでいる時に激震に襲われた。アパートは全壊し、窓から隣のマンションに飛び移り、脱出した。
サークル仲間の安否を確かめるため、下宿を巡り、全壊したアパートで、胸まで埋まっている友人を見つけた。動かせず、励まし続けたが、友人は意識が混濁してきた。居合わせた地元の人たちがノコギリなどを使って引っ張り出してくれた。「道具も知恵もなかった」と無力さを痛感した。
夕方、自宅アパートに戻ると、火災で焼け野原になっていた。「焼けてしもうた。あはは」。隣にいた友人に笑うと、近くにいた男性に「ここで何人も人が亡くなったんじゃ」としかられた。その時は知らなかったが、同じ下宿で神戸大生3人が亡くなっていた。
震災2日後、全壊した櫻井さんのアパートに両親が捜しに来ていると知らされ、駆けつけた。櫻井さんは遺体で見つかった。覚悟はしていたが、信じたくはなかった。その日のうちに、着の身着のままで愛媛県の実家に帰った。「逃げたんです。つらい状況から逃げ出したかった」。坂上さんは涙を流した。
◇「自分ごととして考えられる記事を」
インタビューは、22歳が味わった恐怖や戸惑い、悲しみを同年代の部員たちが追体験する内容になった。
4年生部員の久保田一輝さん(22)が印象的だったのは、「生き残ったのをありがたいと思っても、申し訳ないと思ったことはない」という言葉だった。毎年、1月17日に欠かさず櫻井さんの墓と実家にお参りしており、「それは申し訳ない気持ちからか」と尋ねると、坂上さんは「申し訳ないと思う方が申し訳ない気がする」と答えた。久保田さんは親の立場とは違う、親友としての思いだと感じた。坂上さんは今月17日も墓参し、「今年も来たよ」と声をかけたという。
1年生の成瀬泉さん(20)は、焼け跡で笑って怒られた場面を「受け入れがたい事態に直面した時に、心を守るために笑ってしまうこと、僕らでもよくある」と思った。坂上さんは「『僕は大丈夫だ』と友達に空元気を示す笑いだったが、そこで何が起きていたのか想像力と配慮が欠けていた」と振り返る。
部員らは今回、神戸大生が亡くなった下宿跡の今を描くルポも始めた。今後シリーズ化する予定だ。
震災31年に神戸大で営まれた犠牲者の慰霊献花式で、参列者に現役学生の姿は目立たなかった。委員長の3年、川崎成真さん(20)は「震災を風化させないよう、学生が震災を自分ごととして考えられるような記事を出していきたい。遺族のお話を聞く努力も続ける」と話す。【山本真也】
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