岐阜県警、逮捕術なぜ強い? 秘密は意外なルーツ 全国大会で連覇
警察官が犯人を制圧する技術を都道府県警対抗で競う「全国警察逮捕術大会」が11月に東京都であり、中規模の県警で争う「2部」で、岐阜県警が2連覇を果たした。全国大会の優勝は13回目で、2部では最多回数を誇る。その強さの秘密には意外な「ルーツ」があった。
逮捕術は、その名の通り「安全かつ効果的に相手を逮捕するための技」。柔道や剣道の要素を取り入れ、足技なども使って相手を制する。競技会では一対一で素手や警棒、短刀を模した道具を使い、打ちや蹴りなどで「1本」を取り合う。
試合のルールだが、実は「岐阜が発祥」と言われている。県警によると、岐阜県警は1969年に逮捕術の県大会を全国に先駆けて開催。その後、78年に開かれた初の全国大会では、用具や防具の規定、勝敗を決める反則、「1本」のルールなどを定める際、岐阜県警のルールをモデルにしたとされている。
岐阜発祥説は全国の警察にも知れ渡っており、岐阜県警は「聖地」の警察として一目置かれる存在だという。毎年、警視庁や千葉県警など10前後の警察が岐阜県を訪れ、練習試合や合同稽古(けいこ)などを実施。今年も岐阜県警の選手たちは他県の精鋭と組み合い、技を磨いた。
「柔道や剣道の経験者はいるが、逮捕術は警察学校がスタート。経験値がものをいう競技で、遠征費用も十分ではない中、強豪チームがわざわざ岐阜まで来て練習相手になってくれる。本当にありがたく、これも先人が築いた歴史と伝統があるからこそ」。監督の加藤隼人警部補(42)は感謝する。
こうした他県警との鍛錬に加え、今年は選抜メンバー18人が8カ月間、効果的な練習方法を自ら考えて実践。8人制の団体戦で行われた全国大会では、予選から決勝までの4試合のいずれも接戦を勝ち抜いた。
主将の前田康児警部補(33)は「接戦続きで苦しかったが、チームが一つになって勝つことができた」と喜び、「逮捕術は岐阜のお家芸。これからも連覇を伸ばしたい」と意欲を見せた。【稲垣洋介】
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