同性婚訴訟、2審で初の「合憲」判決 他5件は「違憲」 判断割れる

2025/11/28 11:14 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 同性同士の婚姻を認めていない現行の民法や戸籍法の規定が憲法に反するかが争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、「合憲」と判断した。全国5地裁に6件起こされた同種訴訟で、高裁での「合憲」は初めて。これまで2審は「違憲」が5件続いていたが、最後に判断が分かれた。国の賠償責任は6件いずれも否定した。

 東亜由美裁判長は、現在の状況が続けば「憲法違反の問題が生じることは避けられない」としつつ、「まずは国会で審議が尽くされるべきだ」と判決理由を述べた。

 高裁判断が出そろい、最高裁が今後、統一判断を示す見通し。訴訟は、札幌、東京(2件)、名古屋、大阪、福岡の各地裁に起こされ、1審段階でも「違憲」2件▽「違憲状態」3件▽「合憲」1件――と判断が分かれていた。

 28日の判決の対象となった同性カップル側は訴訟で、現行制度が、法の下の平等を定めた憲法14条▽婚姻の自由を保障する24条1項▽個人の尊厳と両性の平等に基づいた家族法の制定を求める24条2項――に違反すると主張した。

 1審・東京地裁判決(2024年3月)は「同性カップルが婚姻や婚姻に類似した制度がないことで、税・社会保障の優遇措置や、2人の関係を公に証明されるといった利益を一切受けられていない」と指摘。合理的な理由は認められないとする一方で、具体的な制度設計は国会に委ねられているとし、24条2項に違反する状態(違憲状態)とする判断にとどめた。

 控訴審で、同性カップル側は、婚姻に類似した制度では同性カップルが劣った存在だとのレッテルを貼ることになり、個人の尊厳を害するとし、高裁に違憲と言い切るように求めた。

 これに対して国側は、憲法が婚姻について異性間のものであることを前提としており、同性カップルが婚姻できないからといって、違憲とは言えないと反論していた。【安元久美子】

毎日新聞

社会

社会一覧>

注目の情報