被告宅捜索の警察官「テロリストのアジトのよう」 安倍元首相銃撃

2025/11/05 19:34 

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 安倍晋三元首相銃撃事件で起訴された山上徹也被告(45)の裁判員裁判が5日、奈良地裁(田中伸一裁判長)であり、事件当日に被告宅を捜索した警察官が検察側証人として出廷し、「大量の火薬が入った容器があり、爆弾だと思った。テロリストのアジトのようだった」と証言した。

 警察官は当時、奈良県警の組織犯罪対策課に所属し、薬物銃器捜査を担当していた。事件では手製銃が使用されたとされ、証拠の差し押さえのために奈良市内にあった被告のマンションに向かった。

 捜索は20人態勢で、爆発物処理班や銃や火薬の専門知識がある科学捜査研究所も加わっていた。爆発・暴発の可能性を考慮して周辺住民を避難させ、爆風や飛散物を防ぐマットも使用した。

 玄関の靴箱上には自民党のパンフレットがあり、玄関から続く廊下の先のリビングに、ガムテープや配線が巡らされた手製銃6丁が置かれていた。薬きょうが装塡(そうてん)された手製銃もあり、うち1丁は銃口が入り口を向いていたように見えたという。警察官は「着く前は拳銃を想像していたが、実際には全く想像していない形だった。具体的な構造も、発射の仕組みも分からなかった」と回想した。

 リビングからは火薬やレーザースコープ、ドリル、はんだごてのほか、殺人に関する複数の書籍も見つかった。床には物が散乱し、足の踏み場もない状態だった。被告宅はたばこのにおいが充満しており、爆発の恐れがあるとして避難範囲を拡大したという。

 検察側によると、被告宅で押収した黒色火薬は約2・2キロ。計19個の缶ケースや陶器に収められていた。実験の結果、いずれも白煙を上げて燃えたという。【岩崎歩、木谷郁住、林みづき、田辺泰裕】

毎日新聞

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