パグウォッシュ会議閉幕 核兵器不使用の「広島宣言」を発表

2025/11/05 20:11 

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 広島市で開かれていた核兵器廃絶を目指す科学者らの国際組織「パグウォッシュ会議」世界大会は5日、いかなる状況下でも「核兵器は二度と使用されてはならない」とする「広島宣言」を発表し、閉幕した。

 宣言は、核の危険性が増大している現状に危機感を示した。広島と長崎への原爆投下は「人類の良心と道徳の破壊を象徴する」として、そうした未来を回避するには対話が欠かせないと指摘した。核兵器への依存の排除は「道義的義務であると同時に戦略としても必要」と述べ、各国が先制不使用政策を採用し、非核保有国と共通の安全保障の枠組みを強化すべきだとした。

 また「科学者と専門家は科学的根拠や倫理的判断に基づき指導者を導く責任を負う」とし、人工知能(AI)や量子技術など新技術がもたらす不安定化のリスクに対処するため、科学コミュニティーは断固たる行動を取らねばならないと強調した。

 閉会式後に記者会見したフセイン・シャハリスタニ会長は「核兵器を廃絶するには、究極的に戦争そのものを廃絶しなければならない。すべての国家に対して、国際規範を順守し、対立を対話で解決するよう呼びかけたい」と述べた。

 トランプ米大統領が核実験実施を国防総省に指示したことに対し、カレン・ホールバーグ事務総長は「核兵器の開発をやめさせるすべての取り組みに反し、まったく歓迎できない」と批判。「デマや政治不信が多い時世だが、科学的根拠に基づいた議論や情報発信を積極的に続けたい」と述べた。

 会議は5日間開かれ、約40カ国・地域から約300人が参加した。【武市智菜実】

毎日新聞

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