ビール手に「良い仕事をしよう」 ノーベル化学賞・北川進さんの素顔
「ビール好きで、話が面白く、とても穏やか」。ノーベル化学賞が決まった北川進さん(74)の人柄について、知人はこう口をそろえる。1979年に北川さんを近畿大に助手として招いた宗像恵・近畿大名誉教授(84)は、ビールを手にした北川さんが、かつお節をまぶしたオニオンスライスをつまみに「良い仕事をしようじゃないか」と、学生に熱く語っていた姿を覚えている。
研究者を志した原点は、子ども時代にさかのぼる。小学校高学年の頃、母から「これからはエレクトロニクスの時代。いろいろなことが科学の力でできるようになる」と言い聞かされた。「公害が社会問題になる前で、科学が希望に満ちあふれていた時代だった」と北川さんは振り返る。
中学生時代に同級生から受けた刺激も大きかった。ある同級生は、米作家フレドリック・ブラウンらのSF小説を読んでいた。薦められて手に取った本には、宇宙の話が出てきた。科学への夢が膨らみ、次々と新しいSF小説を読みあさった。
1年生なのに3年生の数学を勉強する同級生もいた。「まだ習っていないところやで」と聞くと、「楽しかったら、読み進めたらいいねん」と答えが返ってきた。「興味のあることは、どんどん自分で勉強すればいいんだ」という思いが胸に深く刻み込まれ、それ以来、大好きだった数学や物理、化学は学校で教えられる前に自ら先を学ぶようになった。大学院進学後も、同じ研究室で誰も参加したことがなかった「錯体化学会」に参加した。異例のことだった。
研究では、妥協を許さない一面も。学生時代、愛媛県で開催された学会の討論会で、ある研究者の発表に対し、手を挙げて「理論的におかしい」と発言した。学生が学会の場で異論を唱えるのは珍しく、参加者に強い印象を残したという。
北川さんは自らの経験を踏まえ、研究室の学生らに「三つのC」を言い聞かせている。異分野・異文化に飛び込む「Courage(勇気)」、新しいことに挑む「Challenge(挑戦)」、この二つを実行する「Capability(能力)」だ。
「この三つのCで、自分の力で新たなフィールドを切り開こう」。若い研究者たちに、こうエールを送る。【田中韻】
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