トクリュウ首謀者摘発へ新体制始動 「対策の成否が治安に影響」

2025/10/01 19:30 

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 警察当局は1日、交流サイト(SNS)でつながりメンバーが流動的な「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」の首謀者の摘発に向けて、新しい組織体制をスタートさせた。警察庁には全国の情報を集める「トクリュウ情報分析室」を設置し、捜査の中心を担う警視庁には「トクリュウ対策本部」を新設した。

 警察庁の楠芳伸長官は1日、東京都内であった発足式で「トクリュウ対策の成否が我が国の治安に大きな影響を与えると言っても過言ではなく、今が正念場」と訓示。「違法な収益の流れや容疑者間の関係の分析などを通じて、違法なビジネスモデルの解体を図る必要がある。警察のリソースを総動員して分析し、中核的人物の解明に尽力してほしい」と述べた。

 警察庁のトクリュウ情報分析室は約40人体制で、生成人工知能(AI)も活用しながら情報を集約する。海外に拠点がある特殊詐欺などの事件や最新の手口を分析し、情報発信も担う。

 警視庁では、トクリュウ対策本部が約240人体制で始動した。刑事や生活安全など各部門の情報を集約したり、首謀者ら摘発する標的を定めたりする。

 うち約100人は専従捜査班「トクリュウターゲット取り締まりチーム(T3)」のメンバー。全国の警察から集められており、来春に約100人増員する。

 また警視庁の刑事部と組織犯罪対策部を統合し、新しい刑事部内には特殊詐欺やトクリュウを捜査する「特別捜査課」を設けた。

 訓示した迫田裕治警視総監は「トクリュウ対策本部が司令塔となり、部門の垣根を越えて一元的に情報を収集し、取り締まりのターゲットを選定する。中核的人物の検挙により、相手を壊滅に追い込むことを期待する」と激励した。

 トクリュウは秘匿性の高い通信アプリを通じて緩やかにつながるのが特徴で、特殊詐欺や闇バイト強盗、SNS型投資・ロマンス詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)など多岐にわたる犯罪に関与しているとされる。摘発されているのは末端の実行役が多く、首謀者の特定が課題となっている。【深津誠、長屋美乃里】

毎日新聞

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