「通常業務もままならず」 認定市が「ホームタウン」撤回求めた背景

2025/09/25 20:50 

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 国際協力機構(JICA)の「ホームタウン」事業撤回を受け、認定されていた4市からは市民への謝罪の言葉が聞かれる一方、今後も国際親善を進めていくという前向きなコメントもあった。

 ナイジェリアのホームタウンに認定されていた千葉県木更津市。渡辺芳邦市長は「市民の皆様に心配をかけたこと、改めて心よりおわびする」とコメントした。市の担当者は「心配の声や抗議の声が相次ぎ、通常業務もままならない状況だった」とため息をもらした。

 ホームタウン認定の翌8月22日、木更津市で就労する特別査証が出されるという誤った内容をナイジェリア政府がホームページに掲載したことなどによって「移民が大量に来る」といった誤情報が交流サイト(SNS)などで拡散した。

 これにより9月22日まで市内外からほぼ毎日100件を超える不安や抗議の電話が続き、計約9000件に上った。メールも4000通を超えた。市はホームページで「SNS等で報じられている事実はございません」と否定したが、「安全がなくなる」「木更津は乗っ取られる」「家を買ったが引っ越したい」などの声がやまなかった。

 そうした声に市は対応を迫られた。渡辺市長は8月下旬に訪問したJICAの担当者に「『ホームタウン』という名称が移住や移民という言葉と結びつく」と名称変更の検討を要請した。市の担当者は「今月中旬には主催者が幕を閉じないとらちが明かないとJICA側に白紙撤回を求めるようになっていた」と打ち明ける。

 4市の市長は撤回を受け共同でコメントを発表し「『主催者であるJICAが一貫して説明責任を負い、対応していく』旨の説明があった」などとした。

 新潟県三条市の滝沢亮市長は「従前よりさまざまな国・地域と官民含め交流してきた。今後もこれまで同様に国際親善、相互理解といった目的を踏まえていく」とのコメントを出した。【宮田哲】

毎日新聞

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