入札備蓄米の販売先トップは関東甲信地方 流通のあり方、今後議論も

2025/09/25 20:49 

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 全国農業協同組合連合会(JA全農)が一般競争入札で買い受けた政府備蓄米について、販売先の詳細が25日、わかった。最も多く販売された地域が関東甲信地方で、全体の36%(10万6710トン)を占めていた。最少は北海道の3%(8849トン)だった。JA全農がまとめた8月末時点の最新の輸送状況から明らかになった。

 トップの関東甲信に次いで多いのは、近畿の4万9259トン(17%)だった。さらに九州の3万3074トン(11%)▽東海の2万9318トン(10%)▽東北の2万9156トン(同)▽中国・四国の1万9855トン(7%)▽北陸の1万5069トン(5%)――と続く。

 JA全農は8月末時点でコメ卸などに全量を販売したが、1・7%にあたる4903トンは出庫が集中した影響などで倉庫に保管したままになっている。

 一方、気になるデータもあった。備蓄米倉庫が米どころの東北に偏在し、西日本に届きにくい状況があった。しかし今回の集計をみると、西日本に備蓄倉庫や備蓄米が少ないにもかかわらず、販売先の都合などで中国・四国・九州から関東甲信に販売(883トン)されていた。人口が多く、多くの備蓄米を受け入れていた関東甲信から、備蓄米が多い東北に少量ながら販売(895トン)されていた。

 緊急時に備蓄米をいち早く届ける流通のあり方は今後議論になる可能性がある。

 JA全農によると、入札備蓄米は全国149カ所の倉庫に分散していた。地域別で見ると、東北が全量の約70%にあたる約20万6100トン(83カ所)で断トツに多い。

 次いで関東甲信約3万6400トン(13カ所)▽北海道約1万8500トン(同)▽北陸約1万4800トン(16カ所)▽東海・近畿約1万3300トン(13カ所)▽中国・四国・九州約7200トン(11カ所)――となっている。

 都道府県別の倉庫数では、青森が最も多い20カ所。次いで山形17カ所、秋田16カ所、福島15カ所の順でコメどころの東北に多くが集中している。一方、西日本は少なく、九州は熊本1カ所と極端に少ない。【中津川甫】

毎日新聞

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