神奈川県内の8市町、外国籍住民への支援策なし 市民団体調査

2025/09/18 10:15 

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 外国人の差別問題に取り組む市民団体が、神奈川県内全ての自治体に実施した「外国人住民施策アンケート」の結果を公表した。外国籍人口の割合が全市町村で増える一方、外国籍の市民を支援する施策がない自治体があることが判明。団体は「労働力不足を外国人労働者が補い地域を支えている。共生のための施策が喫緊の課題として求められる」としている。

 調査は「民族差別と闘う神奈川連絡協議会」が実施。県と県下33市町村を対象として、5年ぶりに行われた。質問項目は、2020年から24年までの各自治体の国籍別人口や、外国籍市民向けの施策の有無など。自治体ごとの在留資格別の人口についても回答を求めた。

 協議会のまとめによると24年の県内の外国籍総人口は約26万人で、20年から約3万2000人増加。33市町村を個別に見ても、全てで外国籍の人口割合は増えていた。

 在留資格別では、横浜市や川崎市など多くの自治体で「永住者」が最多だったが、箱根町は「技術・人文知識・国際業務」が約4割を占めた。山北町、清川村は「特定技能1号」が最多で、製造業が盛んな臨海の都市部だけでなく、農業が盛んな内陸部でも外国人が増えている様子が浮かんだ。

 外国籍市民向けの施策は「多文化共生のまちづくり指針」の制定、多言語通訳窓口の設置など何らかの取り組みがある自治体が多数だったが、「特に何もしていない」と回答した自治体が逗子▽大井▽開成▽寒川▽二宮▽松田▽真鶴▽山北――の1市7町あった。

 アンケートを分析した東京都立大の丹野清人教授(労働社会学)は「生活習慣の違う外国人が増えることで住環境が悪くなると感じる人が増えている」と指摘。調査した協議会の大石文雄さん(74)は「共に生きる政策を前々からきちんとやっていれば、ヘイトや差別の問題は出てこなかったのではないか。そうならないような施策があってしかるべきだ」と話している。【横見知佳】

 ◇県内自治体の外国籍人口増加率

1 清川村 144.8%

2 山北町  77.2%

3 箱根町  67.8%

4 松田町  61.3%

5 湯河原町 58.1%

6 大井町  42.1%

7 三浦市  36.6%

8 寒川町  31.5%

9 開成町  30.4%

10 南足柄市 27.8%

 ※2020年と24年を比較。上位10自治体を抜粋。「民族差別と闘う神奈川連絡協議会」のまとめによる

毎日新聞

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