栃木の農地転用問題 許可取り消し請求で農業委「却下」の意見書

2025/09/16 19:22 

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 架空の土地貸借契約の相手方として、同意もなしに自分の農地の転用許可を申請され、栃木市農業委員会が許可したとして、元地権者が許可の取り消しを求めた行政不服審査請求で、農業委は請求を却下すべきだとする意見書をまとめ、元地権者に伝えた。請求が正当な理由がなく法定の期間を過ぎていると理由を説明し、10月3日までに書面による反論を求めた。

 請求したのは同市藤岡町赤麻、石川邦雄さん(79)。請求によると、市内の社会福祉法人「天成会」は2023年8月23日、許可後に30年間の賃貸借権を設定するとして、石川さんの農地2筆計984平方メートルについて、農地法5条に基づく転用許可を申請し、農業委は同年9月28日付で許可処分した。申請書の譲渡人欄には「様式1―4号の通り」とあり、別紙に石川さんら地権者10人の氏名、住所などが記されていたが、賃貸借の契約も予約もなく、「虚偽の申請」と主張している。

 連署での申請だったにもかかわらず、市農業委は石川さんら譲渡人(元地権者)には処分内容を知らせなかった。25年2月21日付の情報公開請求で処分内容を知った石川さんは同年4月22日、行政不服審査法に基づき、審査請求した。

 同法では請求期間として、①処分を知った翌日から3カ月②知らなくても処分翌日から1年――以内と定めている。農業委は石川さんの請求について、②に抵触するとし、「正当な理由」がある場合に認める例外については、都市計画法に基づく開発行為の施行同意書に石川さんの押印があることなどを根拠に適用されないとした。石川さんは「賃貸借の話も天成会による農転申請も全く知らなかった。納得できない」と話している。【太田穣】

毎日新聞

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