彦根城の世界遺産推薦見送り 地元自治体「貴重な教訓、来年こそ」
2027年の世界文化遺産登録を目指してきた滋賀県の彦根城について、国の文化審議会は26日、推薦を見送った。推薦書案をさらに充実し、歴史資産としての妥当性、客観性をさらに高めるよう求められた。国内第1陣で世界遺産暫定リスト入りして33年。地元自治体トップらは「今回の結果も貴重な教訓。課題を確実に修正し、来年こそは国内推薦を獲得したい」と諦めない姿勢を見せた。【伊藤信司、北出昭】
彦根城はイコモス(ユネスコ諮問機関)が助言する「事前評価」制度を国内で初めて活用。23年9月の申請で「徳川(江戸)時代の地方政治拠点として機能した、建築および土木の傑出した見本であり、大名統治システムを有形遺産で示すもの」とアピールし、24年10月にイコモスから「推薦戦略を支持する」と通知された。
一方で(他城との)比較の指標を広げたより厳密な分析▽大名統治システムの包括的説明▽井伊家の重要性明示――なども指示された。今年7月にはこれらを踏まえた推薦書案を文化庁に提出した。
この案に対し今回、文化審議会は「大名統治システムの説明で進捗(しんちょく)が見られる」「資産の遺存状況について分析の精緻化が図られた」などと評価。一方で「一定の範囲の城を抽出することについての妥当性、客観性に関してイコモスから指摘を受ける可能性がある」「大名統治システムの鍵になる概念について説得的な根拠が示されていない」などと課題も挙げた。
彦根市役所で記者会見した田島一成市長は「驚きとともに深い遺憾の念を抱いている」と表明。しかし「一定の評価が示されているとも感じた。ようやく頂上が見えてきた。本当にあと一歩なので努力を重ねたい」と述べた。修正した推薦書案を今年度中に文化庁へ再提出。来年夏の文化審議会での推薦決定を目指す方針だ。
◇識者「2世紀半の大名統治、アピールを」
米原市柏原宿歴史館の谷口徹館長(72)は彦根市勤務時代、20年以上にわたり彦根城の世界遺産化に尽力した。今回は国内推薦候補の選定が見送られたが、「2世紀半の大名統治を引き続き世界にアピールし、国内推薦を勝ち取ってほしい」とエールを送った。
1992年の暫定リスト入りは文化庁主導だったため、当初は地元行政の足並みがそろわず苦労したという。姫路城、松本城、犬山城と「国宝四城」セットで登録を目指した時期もあったが、日本イコモス国内委員会の意向で単独推薦方針に切り替えた。2020年からはようやく県市の協力体制が整い、4度にわたって文化庁に推薦書案を提出。特に24年10月、イコモスから「推薦戦略支持」と事前評価された際は長年の努力が報われる思いだった。
谷口さんは「試行錯誤も重ねたが、江戸期の平和を象徴する彦根城は、現代でも大いに参考になるはず」と強調した。【伊藤信司】
◇彦根城の世界遺産登録を巡る経緯
1992年10月 世界遺産暫定リストに記載される
2008年4月 彦根市が彦根城世界遺産登録推進室新設
08~14年度 長野県松本市、愛知県犬山市とともに「(仮称)国宝四城世界遺産登録推進会議準備会」に参加(姫路城は1993年に世界遺産登録)
20年2月 県と彦根市が「彦根城の世界遺産登録推進に関する協定」締結
3月 県と彦根市が初の推薦書案を文化庁へ提出
4月 県が彦根城世界遺産登録推進室新設
21年3月 2回目の推薦書案を文化庁へ提出
22年6月 3回目の推薦書案を文化庁へ提出
23年9月 ユネスコに事前評価申請書を提出
24年10月 ユネスコから事前評価結果を受理
25年7月 4回目の推薦書案を文化庁へ提出
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