福岡の土地買収、県事務所トップが地権者と直接交渉 公正性に疑義か
道路整備に伴う用地買収を巡り、福岡県が当初算定した適正価格の約5倍の高値で地権者から土地(山林)を取得していた問題で、地権者と直接交渉したのは県の出先機関「田川県土整備事務所」トップの男性所長(当時)だったことが関係者への取材で判明した。県の基準で、5000万円未満の用地買収の最終決裁権者は所長となっている。トップ自らが交渉し最終決裁も担ったことで、公正性のチェックが働かなかった可能性がある。
毎日新聞が入手した内部資料などによると、地権者の男性は部落解放同盟福岡県連の副委員長で、同県赤村に計2505平方メートルの山林を所有。県事務所は、この山林が県道のバイパス整備に必要だとして2024年10月~25年3月、男性と少なくとも8回の買収交渉に臨んだ。
用地買収の交渉は通常、県事務所の係員が担当する。だが、男性との交渉は当時の所長が主導し、副所長や担当課長が同席する形だった。
所長らは当初、専門業者に委託した土地評価の結果などを踏まえ、用地補償の適正価格は430万円と算定していた。しかし男性が安価だとして難色を示すと、再考を約束。県は用地補償では原則、地権者との値段交渉には応じないと規定しているのに、算定ミスを理由に業者に土地評価のやり直しを指示した。
その際、県事務所の担当課長は、大幅に値上げした「希望単価」をメールで業者に送信。関係者によると、所長が送信を事前に了承していたことも新たに判明した。この結果、業者は希望単価に沿って土地の評価を高く見直し、それを根拠に県事務所は最終的な補償額を2165万円にまで増額。25年4月に男性と買収契約を締結し、6月に全額を支払った。
交渉を担当した当時の所長は毎日新聞の取材に「(部落解放同盟副委員長という)立場があったのは事実だが、有力者だから私が交渉に参加したわけではない。いろんな課題がある場合は所長が出るケースもある。(今回は)しっかり事業を説明し、理解してもらいたかった」と釈明。希望単価を業者に伝えることを了承した事実を認めた上で「最初の単価設定が間違えていれば、適正な評価をしないといけないので、それを分かりやすい形で見せるのはいいと思う」と正当性を主張した。
県は13日に開いた記者会見で、希望単価を業者に事前に示した点について「不適切だった」と陳謝。特殊な算定が必要なケースなどは出先機関と本庁で適切に協議して対応するとの再発防止策を示している。【志村一也、川畑岳志、金将来】
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