日本作品初の英ダガー賞受賞 王谷晶さん「喜びより賞の重さ感じる」
優れたミステリー・犯罪小説に贈られる英国推理作家協会賞(ダガー賞)の受賞作が3日(日本時間4日)に発表され、翻訳部門で王谷晶(おうたにあきら)さん(44)の「ババヤガの夜」(サム・ベットさん訳)が選ばれた。日本の作品が同賞を受賞するのは初めて。
「ババヤガの夜」は暴力を趣味とする女性が主人公のハードボイルド小説。けんかの腕を買われ、暴力団会長の娘を護衛することになり、社会の闇と娘の抱える秘密に迫る。2020年に河出書房新社から刊行され、24年に英訳された。
ダガー賞は1955年創設。ミステリー分野では世界的に権威ある賞で、06年に始まった翻訳部門にはこれまで横山秀夫さんの「64(ロクヨン)」や東野圭吾さんの「新参者」、伊坂幸太郎さんの「マリアビートル」がノミネートされてきたが、受賞には至らなかった。
王谷さんは81年東京都生まれ。19歳の頃からライターとして活動。警備員やコールセンター勤務などを経て、30歳の頃「これで食っていくしかない」と決意し、その後、専業作家になった。著書に女性同士のさまざまな関係を描いた短編集「完璧じゃない、あたしたち」や女性の体と向き合ったエッセー集「カラダは私の何なんだ?」などがある。
ロンドンでの授賞式に出席した後、4日に開かれたオンライン記者会見で「半分パニック状態のまま受賞してスピーチした。ホテルに戻ってから実感が湧いてきた。喜びよりも賞の重さを感じています」と話した。
王谷さんをはじめ、英国では日本の女性作家が人気を集めている。今年のダガー賞翻訳部門の最終候補には、柚木麻子さんの「BUTTER」も選ばれていた。また、翻訳書を対象とした英国の文学賞「ブッカー国際賞」の最終候補には川上弘美さんの「大きな鳥にさらわれないよう」が入るなど、世界的な文学賞の候補に名を連ねるケースも増えている。
書評家の倉本さおりさんは「日本の女性作家は、日本社会で風下にいる人たちを取り巻くひずみや見えない圧力を、細やかな視点で描いている。それは王谷さんの受賞作で言えば、女性主人公の『誰かの何かとして生きるのは、無理だ』という隷属を拒否するセリフに象徴される。欧米の読者は日本との社会的、文化的な背景の違いをスリリングに感じつつ、根底で共感するのではないか」と指摘した。【松原由佳、棚部秀行】
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