規制委、原災対策指針の改正案を了承 屋内退避の実現は課題残す

2025/06/18 21:26 

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 原子力規制委員会は18日、原発事故時に5~30キロ圏内の住民が行う「屋内退避」について、継続期間や解除条件を新たに反映させた原子力災害対策指針の改正案を了承した。原発周辺の自治体は指針に基づいて避難計画を策定しているが、地震などと原発事故が同時に起こる複合災害時にどう屋内退避をするかは示されず、実現性には課題も残った。

 改正案は屋内退避の継続期間について、継続するか否かの判断は退避開始後3日目を目安にすると定めた。解除条件は、周辺に放射性物質を含む雲が無いかなどが確認できた場合としている。退避中も、生活の維持に最低限必要な一時的な外出は可能と明記した。

 規制委は、自治体から「屋内退避の解除条件が示されていない」と指摘を受け、チームを発足させて2024年度から検討してきた。今回、解除条件などは示したが、屋内退避を続けるための物資の供給体制や、能登半島地震で浮き彫りになった複合災害時の対応は具体策を見いだせないまま議論を終えた。

 自治体がチームの報告書に寄せた約250件の意見でも、物資供給や複合災害時の対応に関連するものが相次いだ。規制委はこれらの課題に対し、規制委単独では解決できず、他省庁との連携が必要としている。

 規制庁の担当者は「(課題について)関係省庁と意見交換している。自然災害の対応を知らないので勉強している段階だ」とし、複合災害時の必要な対策については今後、検討する意思を示した。

 規制委は、指針の改正案を意見公募(パブリックコメント)にかけた後、正式に決定する。【木許はるみ】

毎日新聞

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