消えた「唯一の光」 逆転敗訴に「結論ありきでは」 東電株主訴訟
未曽有の被害を生んだ東京電力福島第1原発事故を巡り、被災者にとって唯一の「希望の光」だった司法判断が消えた。13兆円の巨額賠償を命じた1審判決を取り消した6日の東京高裁判決。逆転敗訴に原告の株主からは「事故の責任を誰も取らないなんて許されない」との声が上がった。
「大きな社会的責任を負うべき立場にあるが、法的責任は認められない」
「二度と過酷事故を発生させてはならず、原子力事業者は不断の取り組みを継続することが求められる」
東京高裁101号法廷で午前11時から始まった判決の言い渡し。木納敏和裁判長は、旧経営陣の賠償責任を認定できないとする一方、電力会社の社会的責任について異例の言及をした。
だが、裁判長が閉廷を告げると、傍聴席からは怒号が飛んだ。「おかしいだろ」「不合理だ」。その後、株主らは高裁前で「不当判決」と書かれた紙を掲げた。
原告の一人、武藤類子さん(71)=福島県三春町=は法廷で裁判長の言葉を聞いた。「結論ありきなのでは」。到底納得がいかなかった。
事故が起きた2011年3月、原発から西に約45キロの福島県田村市で喫茶店「燦(きらら)」を営んでいた。自然食を売りにしていたが、事故後は周囲の放射線量が高くなり、里山で採った食材を店で出すことはできなくなった。客足も途絶えがちとなり、「一生やっていこう」と思っていた店は廃業した。
事故前から東電の株式を保有していたこともあり、12年3月に原告団の一員として株主代表訴訟を起こした。3カ月後には、事故の避難中に亡くなった病院患者らを被害者として、業務上過失致死傷罪で旧経営陣を告訴・告発した。
多くの被災者の人生が一変したのに、東電の当時の取締役たちは何も責任をとっていない――。裁判を通じて責任を検証することが目的だった。
22年7月の株主代表訴訟の1審・東京地裁判決は津波対策を怠った旧経営陣の責任を正面から認め、約13兆円という民事裁判としては最高額の支払いを命じた。一方、検察審査会の議決を経て旧経営陣が強制起訴された刑事裁判は、25年3月に最高裁で無罪が確定した。結果が分かれる展開に、「正義ある判決」をと東京高裁の法廷に足を運んだが、願いはかなわなかった。
武藤さんは判決後の記者会見で「事故を繰り返さないためにも刑事事件で認められなかった旧経営陣の責任を問いたかった。理不尽極まりない判決で、福島の被災者は誰一人納得していない。受け入れるわけにはいかない」と語った。
株主側代理人の河合弘之弁護士は「社会的責任」や「事故を起こさない不断の取り組み」に言及した判決について、「単なるリップサービスで裁判所側の言い訳だ。ここまで闘ってきてこんな判決は納得できない。最高裁で決着をつける」と憤った。【安達恒太郎、巽賢司】
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