豊作祈願の「御田植祭」 稲の精霊と力士の相撲も 愛媛・大三島

2025/06/01 07:45 

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 瀬戸内海の大三島(愛媛県今治市)にある大山祇(おおやまづみ)神社で31日、一年の豊作を祈願する「御田植祭(おたうえまつり)」が開かれた。目に見えない稲の精霊と力士が相撲を取る「一人角力(すもう)」も行われ、気合の入った取り組みに観衆からは歓声が上がった。

 一人角力は、1707年(宝永4)年の文書にも、旧暦の5月5日と9月9日に行われると記された神事。力士のなり手がおらず1984年に中断したが、99年のしまなみ海道開通を機に復活した。当時の大三島町職員で、合併を経て今は今治市職員の菅貞之さん(50)が26年間、力士「一力山(いちりきざん)」を務めている。

 相撲は三番勝負で、精霊が勝つことで春に豊作が約束され、秋に収穫を感謝する。この日は1勝1敗の接戦の末、最後は精霊の下手投げに敗れた。

 菅さんはコメ不足に触れて「精霊からは、みなさんにお米を食べてもらうため豊作にするという気合を感じた。自分自身も神様に祈りが通じるように取り組んだ」と話した。

 また、土俵隣の斎田では、白衣に赤いたすき姿の早乙女16人が足並みをそろえ田植えの神事を披露した。【田中祐子】

毎日新聞

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