原告代表「私はただ生かされているだけ」 生活保護引き下げ訴訟
「10年以上の裁判を闘うなかで亡くなった方や、声を上げられない生活保護利用者の気持ちを背負い、今日ここに来ました」。生活保護基準を引き下げたのは健康で文化的な生活を保障した生活保護法に違反するとして、受給者が国や自治体に減額の取り消しを求めた訴訟。27日の上告審弁論で意見陳述に立った大阪訴訟の原告団共同代表、小寺アイ子さん(80)=大阪市旭区=は、保護費引き下げによる受給者の苦境を訴えた。
2013年5月に国指定難病の自己免疫性肝炎と診断された。股関節が壊死(えし)し、通常の歩行が困難になった。歌が好きで営んでいたカラオケ喫茶店も閉めざるを得なくなり、同年末から生活保護を受給し始めた。
月8万円の年金と約3万円の保護費でぎりぎりの生活を送る。不自由な足で何軒もスーパーを回り、少しでも安い食材を見つけて食事を作り置きする。洋服や靴も知人のお下がりだ。最近は加齢で体力も落ちて以前のようには歩けなくなった。更に物価高騰もあり、4個で100円強の豆腐を買い、一つだけ食べて寝る日もある。
節約を頑張ってきたのは、4人の孫にクリスマスケーキやお年玉をあげたかったからだ。だが、13~15年の大幅な減額改定後も保護費が上がることはなく、孫のために続けていた1日100円の貯金すらできなくなった。
書店で孫に本をねだられても「お金がないから今度ね」とはぐらかすことも。「おばあちゃん、お金がないんだね」という無邪気な言葉に胸が締め付けられる。
小寺さんは裁判官を前に「私の母は、私の娘にピアノを買ってくれた。同じおばあちゃんなのに、私は1日100円の貯金すらしてあげられない。人間らしく生きるためには栄養のある食事をしたり、家族や友人と過ごしたりすることが必要です。今の私はただ『生かされているだけ』です」と声を絞り出した。
原告らを支援する「いのちのとりで裁判全国アクション」の稲葉剛共同代表は、弁論後の集会で「一般世帯の生活はリーマン・ショック以降苦しくなったが、それに合わせて保護基準を下げたという国の主張は、戦争で国民に我慢を強いた受忍論に酷似している」と批判。愛知訴訟の内河恵一弁護団長は、かつて両親が生活保護に支えられたことをきっかけに弁護士を志したとして「人生はいつどうなるか分からない。受給者の気持ちに思いをはせて、正義の判決をお願いする」と訴えた。【肥沼直寛】
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