「もっと稼げ」 詐欺グループ幹部を逮捕 サイト利用料詐取疑い

2025/05/27 18:00 

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 出会い系サイトの利用料名目で現金をだまし取ったとして、警視庁と福岡県警の合同捜査本部は27日、職業不詳、石垣勇輔容疑者(41)=東京都江東区有明1=を組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)の疑いで逮捕したと発表した。被害者にメッセージを送る「打ち子」らの現場を統括する実務者のトップという。

 石垣容疑者は東京都内で定期的に会議を開いて、打ち子に売り上げ目標を伝えたり、業績が下がっている拠点には「もっと稼げ」と指示したりしていたとされる。組織を束ねる代表者が他にいるとみられる。

 合同捜査本部は、グループが少なくとも、副業を紹介するとうたうものを含めて四つのサイトを運営し、2024年5月までに、全国約1万人から約53億円を詐取していたとみている。

 逮捕容疑は仲間と共謀して21年2月~22年7月、運営する出会い系サイトで、登録者に「チャット利用に必要な費用を支払えば男性会員と個人情報を交換できる」とうそのメッセージを送り、千葉県の40代女性に31回、埼玉県の20代女性に9回にわたり現金を振り込ませ、計約1100万円をだまし取ったとしている。警視庁は認否を明らかにしていない。

 警視庁犯罪収益対策課によると、グループは分業制で、被害者とやり取りする打ち子らの「運営部門」▽詐取金の管理や回収、クレーム対応を担う「法務部門」▽グループ内の経費を管理する「経理部門」――が確認されている。石垣容疑者はこの三つの部門を統括・指示する立場で、グループの幹部とみられる。

 打ち子は一般の求人サイトで「オペレーター」のアルバイトとして募集されていたケースもあるという。東京、埼玉、宮城、福岡の4都県に計5拠点を置き、交流サイト(SNS)を通じて、被害者とやり取りをする異性を装うなどしていた。

 法務部門はクレームに対し、被害者が支払った代金の最大半額までの返金に応じつつ、被害届の提出や民事訴訟を起こさせないよう合意書への署名を集めていたという。

 グループの逮捕者は89人目で、うち85人が起訴されている。【長屋美乃里】

毎日新聞

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