<追跡公安捜査>「捏造」の訴えどう判断? 大川原化工機訴訟、東京高裁が28日判決
化学機械メーカー「大川原化工機」(横浜市)の冤罪(えんざい)事件を巡り、社長らが東京都と国に賠償を求めた訴訟の控訴審判決が28日、東京高裁で言い渡される。1審は警視庁公安部と東京地検の違法捜査を認めて賠償を命じたが、控訴審では大川原側が証拠を補充して「事件の捏造(ねつぞう)」を強く訴えた。判決が捏造の有無に踏み込むのかが注目される。
大川原化工機の社長ら3人は、軍事転用可能な噴霧乾燥器を不正輸出したとして2020年3月に外為法違反で逮捕・起訴された。東京地検は初公判直前に起訴を取り消した。訴訟では、噴霧乾燥器が輸出規制品に当たるかを判断する温度実験が適切だったか▽逮捕・起訴の根拠となった輸出規制省令の解釈は妥当だったか――が主に争われた。
23年12月の東京地裁判決は、必要な温度実験を怠って逮捕・起訴が行われたとして、都と国に計約1億6200万円の賠償を命じた。一方、省令解釈は公安部が所管官庁の経済産業省に確認していたことを理由に違法性を否定し、捏造の有無に言及しなかった。
控訴審で大川原側は、省令解釈に関して公安部が経産省との協議内容をまとめた捜査メモを新たに提出した。メモには経産省が当初は公安部の解釈に否定的だった▽警察上層部が経産省に働き掛け、省令解釈が公安部寄りに突然変更されたことを示唆する記載があった。この協議に同席した警部補は証人尋問で、メモの内容をおおむね事実とし、一連の捜査が「警察幹部の欲」で強行されたと述べた。
これらの証拠や証言から大川原側は「公安部は省令解釈をねじ曲げ、事件を作り上げた」と主張。さらに公安部は立件に不利な温度実験結果を隠蔽(いんぺい)し、東京地検も公安部の暴走をチェックすることを怠ったとしている。
これに対して、都側は経産省が公安部の省令解釈に当初否定的だったとしても、あくまで担当者の個人レベルの話で、省としての公式見解は一貫して公安部の解釈と同じだと反論。経産省への不当な働き掛けはなく、温度実験も十分だったとしている。国側も公安部から示された当時の証拠に基づけば、起訴に違法性はないと主張している。
また、1審判決は公安部が大川原化工機の元取締役を欺くような違法な取り調べをしたとも認定したが、都側は取り調べは適正だったと反論している。【安元久美子】
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