脱炭素化、中小企業の相談乗ります 千葉の機関 経費減らした実績も

2025/05/22 13:15 

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 省エネやエネルギーコストの削減について事業者からの相談に乗る機関がある。千葉県が2024年度に設置した「中小事業者等脱炭素化支援センター」。どんなアドバイスを期待できるのか。センターの脱炭素化支援相談員で、中小企業診断士の井尾生太さん(45)に聞いた。【平塚雄太】

 ――センターはどんな役割があるのでしょうか。

 ◆県が脱炭素化を進めるためJR海浜幕張駅に近い、ちばぎん幕張ビル(千葉市美浜区中瀬)に設置しています。私のような中小企業診断士や、エネルギー管理士などの専門家の相談・支援を無料で受けられます。事業者の話を聞いて工場などを訪れ、二酸化炭素(CO2)の排出量削減のために何ができるかを一緒に考える「伴走型支援」に取り組んでいます。

 私はエネルギー管理士試験を受けて合格しています。工場など大規模事業所の省エネに取り組む国家資格です。正式な免状は事業に1年以上従事しないと交付されないので持っていませんが、CO2排出量の計算はできます。まずはそうした計算をして、事業者の話も聞きながら対策を考えていきます。

 ――具体的にどんなアドバイスをするのでしょうか。

 ◆事情に応じてさまざまです。例えば工場の屋根に太陽光パネルを設置することを提案する場合があります。オフィスの空調や業務用の冷蔵庫、冷凍庫の温度設定を少し緩めにしたり、蛍光灯をLEDに替えたり、消費電力が少ない機械設備の導入を促したりという方法もあります。

 ――脱炭素化をするにしてもコストが心配です。

 ◆経営面も考えた支援を心がけています。県は省エネ設備の導入や診断の費用に補助金を出しています。例えばCO2排出量の年間3トン以上削減が見込める設備投資は、かかった費用の半額(上限1000万円)まで補助されます。そうした仕組みの案内もします。

 脱炭素化が経営の効率化につながる例もあります。業務用の冷凍庫で年に億単位の電気代がかかっている水産関係の事業者がいました。外気温が低い冬などは品質管理に問題ない範囲で少し温度を高くできると話し、経費削減につなげられました。

 脱炭素化への取り組みが今後、国際的な取引で重視されていく可能性があります。同じような製品でもより少ないCO2排出量で生産されたものが選ばれる。そうした流れを予想して、海外と取引があるメーカーが相談に来ています。

 ――事業者の方に呼びかけたいことは。

 ◆ウクライナ情勢の影響などで世界的にもエネルギー価格が高騰していますし、脱炭素化の取り組みを考えてみてほしいと思います。平日の9~17時(昼12~13時は除く)、電話(043・296・3217)で相談を受け付けています。無料ですから、ぜひ気軽に相談してください。

 ◇いお・しょうた

 1980年、愛知県出身。プラントエンジニアリング会社で石油化学プラントなどの設計をしていたが、「組織の中ではなく独立した仕事がしてみたい」と中小企業診断士の資格を取得。22年に「井尾経営支援オフィス」(当初市川市、現在千葉市中央区)を開設した。

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