外国免許切り替え 警察庁長官「観光では認めず」 制度改正の方針

2025/05/22 20:14 

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 外国の運転免許証を日本の免許証に切り替える「外国免許切り替え(外免切替)」について、警察庁の楠芳伸長官は22日の定例記者会見で、制度を改正する方針を明らかにした。観光のため短期滞在する外国人が申請できないように住民票の写しを求めるほか、交通ルールの理解度の確認を厳格化するため試験の問題数を増やすことを検討する。

 外免切替を巡っては、観光ビザで来日した短期滞在の外国人がホテルなどの一時的な滞在場所を住所地として免許を取得していることが問題視されている。

 ベトナムや中国などは道路交通に関するジュネーブ条約に加盟していないが、日本で外免切替すれば、条約に基づく国際運転免許証も取得でき、約100カ国で運転可能になる。

 また知識確認は2択形式で10問が出題されるのみで、7問正解すれば通過できるため「簡単すぎる」との指摘が出ていた。2023年の知識確認の通過率は91%で、その後の技能確認は29%だった。

 楠長官は、住所確認を厳格化するため、国籍を問わず申請者には住民票の写しを求めることを原則とし、「観光による滞在者の外免切替を認めないこととする」と言及。知識と技能の確認も方法を厳格化することが必要だとした。警察庁は今後、制度の改正案を取りまとめ、意見公募を実施する。

 警察庁によると、23年に外免切替で免許を取得した外国人は5万6022人で、14年の2・2倍。元の免許の発行国別では、ベトナムが最多の1万5807人で、中国1万1247人、米国4250人と続いた。

 外免切替での免許取得者の事故統計はないが、14日に埼玉県三郷市で小学生の列に突っ込んだ中国籍の男性と、18日に三重県亀山市の新名神高速道を逆走したペルー国籍の男性は外免切替で日本の免許証を取得していた。ともに短期滞在ではなかったという。

 原付きバイク以上の交通事故のうち外国人運転者の割合は、20年の約1・9%から年々増加し、24年は2・7%だった。訪日外国人の増加などが背景にあるとみられる。【山崎征克】

毎日新聞

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