兵庫第三者委“文春への情報提供者も対象” 「報道の自由」萎縮の声

2025/05/13 20:03 

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 県の第三者委員会は「週刊文春電子版」の報道についても調査した。文春側に情報提供した人物が刑事告発の対象となり、専門家からは「報道の自由を萎縮させる」との声が上がる。

 調査対象となったのは「週刊文春電子版」が2024年8~9月に配信した記事6件。元副知事が元局長を聴取した際の音声データなどが含まれていた。立花氏らが公開した私的情報とは異なるが、第三者委は「県の保有情報と同一性がある」と指摘。情報の提供元については特定できなかったとしている。

 第三者委は13日に開いた記者会見で、立花氏や文春側に事情を聴かなかったと明らかにした。弁護士の工藤涼二委員長は「報道の自由を侵害する恐れがある。流出の経緯を調べるのが目的だ」と説明した。

 県は立花氏や文春への情報提供は公益通報とされなかったことから、刑事告発したとしている。会見に同席した山口充・県法務文書課長は「報道の自由に圧力をかけようという趣旨ではないが、秘密の漏えいは放置しておけない」と強調した。

 週刊文春編集部は「特にコメントする立場にありません」とした。

 一連の対応について、専修大の山田健太教授(言論法)は「秘密の漏えいを放置できないとする県の言い分は理解できなくないが、公権力による情報源の特定はあってはならない」と指摘する。

 立教大の砂川浩慶(ひろよし)教授(メディア論)は文春への情報提供を調査対象としたことについて「行政による圧力につながる」と問題視する。そのうえで「行政が媒体名を挙げたうえで、情報漏えいを刑事告発したことは聞いたことがない。県民が有益な情報を得るための知る権利を萎縮させる」と述べた。【稲田佳代、土田暁彦】

毎日新聞

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