静岡県内の観光地でバリアフリー化推進 伊東、伊豆市で実証実験 参加者の声反映しマップ作成

2025/08/21 11:00 

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 静岡県は、年齢や障害の有無に関係なく誰もが安心して旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」の推進に向け、移動支援や施設のバリアフリー化に関する実証実験に着手した。伊東、伊豆両市をモデル地域に選定し、車椅子が通れる経路などを示すデジタルマップの制作や、鉄道や宿を一括手配できるシステムの構築を進めて観光需要拡大を目指す。関係者は「静岡をユニバーサルツーリズムの先進県にしたい」と意気込む。
 「この棚にはオレンジジュースが並んでいます」。7月下旬、伊東市でのモニターツアーに群馬県みどり市から参加した視覚障害者の久保田真由美さんはサポート役の女性から説明を受けながら観光施設を巡った。1泊2日で市内に滞在し、陶芸体験や歴史施設の見学なども楽しんだ。
 久保田さんは「駅には点字ブロックが多く敷設されていて助かった。障害者にとっては社会が障害を理解してくれることが一番のバリアフリーだ」と話す。車椅子で参加した櫛田美知子さん(67)=東京都八王子市=は「その施設にどんなバリアフリーがあるか、事前に検索できるようにしてほしい」と求めた。
 モデル地域は公募で選ばれた。伊東、伊豆の両市とも2次交通に課題を抱えていることから、実証実験を通じて解決策を探る。
 県はツアー参加者から寄せられた意見や要望などを基に、施設のバリアフリー情報を集約した「ユニバーサルマップ」などを制作する。スロープや手すりの設置、通路や出入り口の拡幅など観光施設のバリアフリー化にかかる費用の2分の1(上限500万円)を補助する制度も周知していく。マップや一括手配システムは2026年3月に一般公開する予定。
 NPO法人静岡ユニバーサルツーリズムセンターの長橋正巳理事長(72)は「高齢者や障害者は周りに迷惑をかけたくないとの思いが強く、旅行に消極的になりがちだ」と指摘。「ユニバーサルツーリズムの意識が広がれば観光客はもちろん地域の高齢者らの外出も後押しする。事業者にとっても安定した顧客の獲得につながる」と強調した。
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