清水の花火、カンヌの空に咲く 日本ならではの美しさ表現 藤枝の老舗イケブン輸出 8月3日み…

2025/07/26 08:56 

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 清水の花火がカンヌの空に咲く―。静岡市が姉妹都市提携を結ぶフランス・カンヌ市との国際交流事業として、清水みなと祭りの海上花火が8月15日(日本時間16日)のカンヌ花火芸術祭で披露される。打ち上げるのは25年以上にわたり海上花火を担当する藤枝市の老舗イケブンで、2年がかりで欧州の厳しい輸入規制をクリアした。3日のみなと祭り最終日に、芸術祭のショーの一部を一足早くお披露目する。
 1967年から続く芸術祭は世界で最も権威のある花火大会の一つで、カンヌ国際映画祭の会場でも有名な「パレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレ」が主催する。動画投稿サイトを通じてみなと祭りの花火が関係者の目に留まり、2022年10月に静岡市に出場の打診があった。
 ただ、欧州は07年ごろから輸入規制が厳格化。花火は1発ごとに、内部構造や材料などを基準に適合させた上で、打ち上げ高度や直径も検定員の審査を受ける必要があり、担当したイケブンの高橋美帆子副工場長は「膨大なコストと手間、時間を要した」と振り返る。それでも、「国内の花火市場は拡大が難しく、他に目を向けなければならない。成功すれば海外展開のチャンス」と、2年間をかけて約110種類で認証を取得した。市によると、フランスへの日本製花火の輸出は24年ぶりという。
 高橋副工場長によると、日本が1発の色彩や形、構成の複雑さなどを追求するのに対し、欧州は一定時間で楽しませるショーの要素が強い。その分、花火自体は単調になりがちという。今回の持ち時間は20分。欧州で人気の日本アニメの楽曲などで観客の心をつかんだ上で、約6千発の中で日本ならではの1発1発の美しさも表現するつもりだ。高橋副工場長は「芸術祭にはヨーロッパ中から人が集まり、映画祭に次いでカンヌがにぎわうと聞いた。花火の新たな価値観をアピールしたい」と意気込む。
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