仮想空間で林業に挑戦! 静岡県と都内企業が体験会 「気軽なゲームで関心高めて」

2025/03/31 07:57 

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 空間情報事業を扱う朝日航洋(東京都)が「バーチャル静岡構想」の3次元点群データを使って林業機械の操作体験シミュレーターを開発し、林業分野の人材確保につなげようとしている。3月下旬、県と共同で静岡市葵区の静岡理工科大静岡駅前キャンパスで体験会を開き、富士宮市のヒノキ林を仮想空間上に再現したゲームを通して一般参加者が立木の伐採や加工に挑戦した。担当者は「林業でも点群データを使って気軽なゲームとして取り入れたかった」と話し、業界への関心の高まりに期待する。
 大きなゲームの筐体(きょうたい)が設置された体験会会場。参加者は「ハーベスタ」と呼ばれるショベルカーのような林業機械を仮想空間上で操る体験を楽しんだ。2本のレバーを前に押し込むと、画面の中で凹凸のある地面の上を機械が前進。立木が近づくと左右にレバーを動かして機械から伸びたアームの位置を調節。レバーについたボタンを押すとアームが立木をつかみ、装着されたチェーンソーが伐採を始めた。
 アームの先にはチェーンソーや一定の長さに測り取るローラーなどがついていて、伐採から枝払い、切断加工までを一貫して行うことができる。参加者は「地形に高低差があり、リアルさがあった」「林業はチェーンソーで木を切るだけの重労働だと思っていたが、この機械を使えばいろいろな人が従事できると思う」などと感想を言い合った。
 林業技師などの資格を持ち、開発に当たった同社の和田陽一さん(53)は「ハーベスタと筐体の操作感がそっくりで、使えると思った」と振り返る。「バーチャル静岡」構築にも関わった同社が県に持ちかけ、約4年かけて開発した。今後も体験会や改善を重ねる。
 これまで専門的なシミュレーターはあったが、手軽なシミュレーターはほとんどなかった。県林業振興課の森高洋課長代理は「人材確保に向け、一般の人が林業に興味を持つきっかけになれば」と期待する。
 シミュレーターは同区の静岡産業技術専門学校にも設置。今後、就業ガイダンスなどにも活用する予定。
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