静岡市葵区の県立科学技術高の小野聡校長（６０）が３年前、新型コロナウイルス禍で学校の様子を伝えようと始めた校長ブログが人気で、学校ホームページ（ＨＰ）への閲覧者数が近く６００万回に到達する見込みとなった。校長ブログの更新は６千回、撮影した写真は１３万枚に上る。退職までわずかとなった３月下旬、「反響に励まされた日々だった」と生徒や保護者ら閲覧者に感謝する。
■授業や実習、部活動―　工業高の日常　魅力的に
　小野校長が着任した２２年４月は、新型コロナが授業や学校生活へ大きな影を落としていた時期。学校を公開する機会を限定せざるを得ない申し訳なさや、工業高の志願者数が全国的に減少傾向にある中で志願者を回復させたいとの思いも重なってブログを開設した。
　自身も当時は「閉塞（へいそく）感にもどかしさを感じていた」という。カメラを手に校内を巡ると「紹介したいことが尽きなかった」。学科ごとに特色がある授業や実習、朝の部活動、力自慢の生徒が砂袋を持ち上げる体育祭の伝統種目―。生徒はいつも真剣で何かに夢中で、輝いていた。「配信する側で見て、工業高校の日常がいかに魅力的か気付いた」
　多い日は３万回近く閲覧があった。生徒が校長室に遊びに来るようになり、教員とのコミュニケーションも密になったとの手応えを得た。「見てくれる人たちのために」と日々の食堂のメニューや受験生に贈る在校生の応援メッセージなどを載せるうち、見知らぬ人から手紙が届いたり、合格発表の日に受験生から声をかけられたりと反響も。
　小野校長の「お別れのあいさつ」の掲載日が近づく中、同校では６００万回の達成日を予想するクイズを実施中。的中した人には自身が手作りしたプレゼントを贈るという。２４日時点では５８６万回を超えている。