【浜岡原発再稼働問題】衆院選候補 原発ごみ論戦及び腰 貯蔵プール近づく満杯 「先送りせず …

2024/10/22 08:13 

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 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の再稼働問題を巡り、運転で発生した使用済み核燃料の処理が長年の課題になっている。日本原燃の核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)は完成が遅れ、浜岡原発の燃料冷却プールの貯蔵容量も満杯に近づき、再稼働したとしても行き場を失った放射性廃棄物のさらなる蓄積が懸念されている。終盤戦を迎えた衆院選では再稼働の賛否を訴える候補者がいる一方、“原発ごみ”の処理問題に関する目立った論戦はほぼ交わされていない。有権者からは「ごみ問題を先送りせず、原子力政策をどう確立するのか考えを聞かせて」との声が上がる。
 「原発のメリットだけ語って負の側面を見ようとしていない」。衆院が解散された前日の8日夜、袋井市で開かれた静岡3区の立候補予定者らによる公開討論会。動画中継を視聴した御前崎市の子育て中の30代女性は嘆いた。原発再稼働の必要性や条件について主張が展開されたが、稼働後の課題には触れなかったからだ。女性は原発再稼働の必要性に一定の理解を示すも、「ごみ問題は将来世代に押しつけてはいけない」と指摘する。
 中電によると、使用済み核燃料は高熱を持ち放射能レベルが高いため貯蔵プールで冷却する必要がある。同原発には現在6542体を保管中で、貯蔵量割合は87%に上る。国は全国の各原発から出た使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを資源として取り出し、混合酸化物(MOX)燃料に加工して再利用する「核燃料サイクル」政策を堅持する。だが、要となる再処理工場は建設着工から30年が経過しても完成していない。国は再処理工程で残った廃液をガラスで固めた高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定も急いでいるが、見通しは立ってない。
 中電は現状では原発再稼働が難しいため、余熱が下がった使用済み核燃料をプールから取り出し、空気の自然対流によって保管する「乾式貯蔵施設」を建てる計画を進める。プール空き容量を確保する狙いだが、市民からは「根本的な解決策になっていない」(80代男性)との声が出ている。候補者に対しては「再稼働とごみ問題はセットで語るべきだ」(別の30代女性)との注文が多い。
 使用済み燃料には核兵器にも転用できるプルトニウムが含まれ、大量保有には国際的な懸念も指摘されている。国内では原発再稼働が相次ぎ、浜岡原発3、4号機も原子力規制委員会による安全審査が進む中、問題解決への道筋をどのように付けるかが問われている。
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