衆院選、AI悪用の偽画像拡散 フェイクを見破る三つのポイント

2026/01/28 11:00 

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 衆院選を巡り、虚偽の写真や動画がネットで拡散している。生成AI(人工知能)の進歩などから、精巧なフェイク画像の作成が容易になったことも影響しているとみられる。

 誤った情報を信じたり広めたりしないために、専門家は三つのポイントに注意するよう呼びかけている。

 ◇候補者の写真をAIで改変

 「寒いのに元気だな」

 衆院解散前の1月20日、X(ツイッター)の個人アカウントが、そんな言葉とともに1枚の画像を投稿した。

 タンクトップ姿の衆院選候補予定者が、小雪の舞う路上で手を振る画像だった。この画像の右下には、生成AIで作成したことを示すマークが残っていた。

 その約3時間前にはこの候補者自身が、コート姿で手を振る自分の写真をXに投稿していた。服装以外は拡散した画像とほぼ同じで、この写真が生成AIで改変されたとみられる。

 衆院選を巡る同様の虚偽投稿は、交流サイト(SNS)で数多く広がっている。

 最近は、AIを使って実際の写真や動画を勝手に加工し、本来とは異なる主張をしているように改変したり、過去の写真を最近撮影したもののように誤認させたりするケースがある。

 ◇玉木氏「提訴を検討」

 動画投稿サイトのユーチューブでは、国民民主党の玉木雄一郎代表が更迭され、資産を没収されて国外に追放されるかのような虚偽動画がアップされた。

 いずれも事実無根で、玉木代表自身がXで「さすがにひどい」と指摘。名誉毀損(きそん)だとして提訴を検討すると表明した。

 立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」についても、複数のデマが広まっている。野田佳彦氏と斉藤鉄夫氏が笑顔で新党のボードを持つ写真が改変され、新党のロゴが中国の政党風のマークにすげ替えられた。

 「中国の団体とそっくり」などとする虚偽の情報も拡散し、670万回以上も閲覧された投稿もあった。中道は改変画像への注意を呼びかけ、「法的措置を含め、厳正に対処する」としている。

 フェイクについては、2025年夏の参院選でも問題となり、総務省はSNSなどを運営する事業者に偽・誤情報の迅速な削除などの対応を要請している。

 ◇重要なのは発信者、根拠、関連情報

 有権者側も、誤った情報を安易に信じて拡散しないことが求められる。

 日本ファクトチェックセンターの古田大輔編集長は、フェイクニュースを見抜くポイントとして「発信者は誰か」「発言の根拠」「関連情報との比較」の三つを挙げる。

 発信者については、まずその人物が情報を知り得る立場にあるかどうかをチェックしたい。また、以前に虚偽の情報を発信していないかチェックすれば信頼性を確認する助けになる。

 発言の根拠も重要だ。信頼できる情報源がはっきり示されているか、不正確な個人の発信などを引用していないか確認する。海外の著名人やジャーナリストの動画を引用していても、本来の発言とまったく違う内容の日本語字幕がつけられているケースもある。

 また、そのニュースに関係する公的機関や報道機関が発信した信頼できる情報と比較してみることも効果的だ。特定のニュースについて一つの組織や1人の専門家しか知らないということは少ないため、関連する複数の情報と比較してみることが重要になる。

 一方、生成AIの進歩により、専門的な知識がなくても短時間で容易に画像を改変できるようになった。AIの悪用により、簡単に見抜くことが難しいフェイク画像も氾濫している。

 ただ、使用した生成AIのマークが入っていたり、日本語の文字表記が崩れていたりする場合があるので、細部をよく確認する作業が必要だ。

 古田編集長は「世の中には間違った情報、信頼できない情報が星の数ほどあります。自分がレストランに行く時や旅行に出かける場合、事前によく情報を調べるでしょう。数年に1度しかない衆院選でも、しっかり調べた上で投票してほしい」と呼びかけている。【木村敦彦】

毎日新聞

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