高市政権「新しい資本主義会議」廃止へ 成長戦略重視へ路線転換

2025/10/25 17:10 

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 政府は、成長戦略の具体策を議論する「日本成長戦略会議」を新設するのに伴い、2021年に設置された「新しい資本主義実現会議」を廃止する方針を固めた。関係者が明らかにした。新しい資本主義は「成長と分配」を掲げる岸田文雄元首相が掲げた看板政策で、石破茂前首相も引き継いでいた。高市早苗首相は「危機管理投資」を要とする成長戦略に軸足を置いており、路線転換が鮮明になりそうだ。

 関係者によると、日本成長戦略会議には民間有識者も参画する方向で、新しい資本主義実現会議から引き続き連合の芳野友子会長らが参加する見通し。

 首相は24日の所信表明演説で、人工知能(AI)や半導体、造船、量子、バイオなどの戦略分野に大胆な投資促進を図る「危機管理投資」で経済成長を実現すると訴え、日本成長戦略会議の設置を表明した。「日本の供給構造を強化し、世界の投資家が信頼を寄せる経済を実現して好循環を生み出す」とした。

 岸田氏は21年10月、首相就任時の所信表明演説で「新自由主義的な政策については、富めるものと富まざるものとの深刻な分断を生んだという弊害が指摘されている」と格差是正の必要性に言及。新しい資本主義では「成長と分配の好循環」を目指すとし、物価上昇を上回る賃上げを最重視してきた。石破氏も24年10月の所信表明演説で「成長と分配の好循環」という表現を引き継いだ。一方、高市氏の演説に「分配」という言葉は含まれず、成長戦略を重視する姿勢がにじむ。

 木原稔官房長官は24日の記者会見で、新しい資本主義実現会議について「包摂した形で危機管理投資を肝とする日本経済の強い成長を目指す」と述べ、組織改編を示唆していた。【遠藤修平、畠山嵩】

毎日新聞

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