新市民会館と庁舎、複合施設に 旧競馬場跡地に整備 栃木・足利

2025/09/26 17:04 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 栃木県足利市は26日、新たな市民会館と市本庁舎を複合施設として同市五十部町の旧足利競馬場跡地に整備すると発表した。早川尚秀市長は「財源が限られる中、工期が最短で、複合化によるコスト縮減効果が大きい点を重視した」と決定理由を説明し、「2028年には着工したい。最短での完成を目指す」と述べた。市は施設規模や完成までの工程を示す整備基本計画を来年10月をめどに策定する。

 市によると、旧市民会館は敷地を足利高校新校舎用地とするため、2021年6月に閉館。一方、庁舎は耐震診断で、震度6以上の地震で倒壊の可能性が高いと判定された。

 市は両施設の整備に向け、競馬場跡地と現庁舎敷地(本城3)、市民プラザ敷地(朝倉町)の3カ所を候補地に選んだ上で、適地性や複合化の効果についての検討業務をコンサルタントに委託。7月公表の業務報告は①複合化し、機能を共有させることで延べ床面積を約2200平方メートル縮減できる②競馬場跡地で複合化した場合の工期は33カ月で、現庁舎98カ月、市民プラザ130カ月より短い――など複合化や競馬場跡地の優位性を評価していた。一方で、同跡地が渡良瀬川に近く、市のハザードマップによれば氾濫時に3~5メートル未満(一部5~10メートル未満)の浸水が想定されるデメリットも指摘していた。

 早川市長は「場所について、さまざまな意見があるのは承知しているが、将来の足利市を見据えて判断した」と説明。浸水想定区域への建設については「慎重に議論したが、1・3メートルの盛り土でリスクが軽減できると技術的な助言を受けた」と話した。工期については「完成は7~8年後」とする一方、「着工から3年間で建設したい」と最短で30年度の早期完成に意欲を見せた。

 競馬場跡地は足利赤十字病院に隣接し、現在は芝生の広場やスクランブル交差点のオープンセットなどで利用されている。オープンセット用地の賃貸借契約は今年度末で満了するため、市は更新しない方向で設置者と協議しているという。【太田穣】

毎日新聞

政治

政治一覧>

注目の情報