参院選へ維新に逆風? 尼崎市議選で得票大幅減 存在感増す少数政党

2025/06/25 15:37 

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 参院選は7月3日公示、20日投開票と決まった。前哨戦とされた22日の東京都議選で自民党が惨敗。県内第4の都市・尼崎市では15日の市議選(定数42)で、主要政党は得票数で2021年の前回選より大幅減か微増にとどまった。中でも最も得票を減らしたのは日本維新の会。参院選で民意はどこに向かうのか。

 市議選では自民、公明党と維新は公認候補が全員当選した。ただ得票数の合計では3党とも減らした。投票率(40・17%)はほぼ前回並みで、3党の関係者の表情はさえない。

 同市は全国的にも公明の牙城ともいえる地域だ。市議選では前回と同じ12人を擁立し全員が当選。合計で3万7293票を得た。得票率は24・9%と2位の維新を10ポイント以上も上回り、断トツでトップだ。

 ただ、得票数の合計は前回選に比べると6752票減(得票率で4・1ポイント減)だった。公明関係者は「選挙活動の中核を担う層が減っている」と支持母体・創価学会の会員の高齢化の影響を指摘する。

 自民は前回選で獲得した議席よりも1人減らして、6人を擁立し、全員が当選した。だが、公認候補者の合計の得票は前回選比で6665票減(同4・3ポイント減)だった。自民県連幹部は、「『岩盤保守層』(強固な保守層)が日本保守党などに流れたのではないか」と渋い顔だ。

 国政与党もふるわなかったが、市議選で最も得票を減らした政党は維新だ。公認候補が前回選の11人から7人に減り、合計の得票は前回選より1万4855票減。得票率では9・7ポイントも減った。

 同党は結党翌年の13年、「第三極」として注目を浴び市議選で4議席を獲得。17年は7、21年には10議席と順調に議席を伸ばした。

 だが22年、市議会の維新会派で幹事長も務めた市議(当時)が政務活動費を巡る不正疑惑で除名となり、その後、市議3人が離党した。24年には維新県議団が斎藤元彦知事の不信任決議に賛成したが、出直し知事選で斎藤氏が再選された後、地方議員の除名や離党が相次いだ。

 市議選告示前には維新の吉村洋文代表も応援に入った。だが、ある市議は「前回は『維新さん頑張りやー』という応援の声をもらったが、今回は全くなかった。風が吹いていないというか、逆風というか……」と声を落とした。さらに「有権者は交流サイト(SNS)のイメージだけで投票しているのかな、と感じる。今回当選した7人は地元で汗をかいて努力をした成果だ」と強調した。

 共産党も得票を減らし、国民民主党や立憲民主党は得票は増やしたものの当選議席は前回と同じだった。

 そうした中で、存在感を増したのは少数政党や諸派だった。参政党は新人1人を擁立し、6938票でトップ当選。れいわ新選組や保守とともに初議席を獲得した。諸派も2人が当選し、政治団体「NHK党」の新人が4474票で4位当選した。

 尼崎市議選は1993年に、前年に結成した日本新党が推薦2人を含め8人が当選。同日の都議選でも20議席を得て、翌月の衆院選でも躍進。自民党の下野につながった。2009年は民主党の2人が得票1、2位で当選。同党は2カ月後の衆院選で政権交代を果たした。

 参院選兵庫選挙区(改選数3)は少数政党も含めて多くの立候補予定者が準備を進めている。今回の市議選の結果は、参院選にどうつながるのか。

 自民県連幹部は「有権者の既成政党離れを感じる。参院選は激戦だ」。【井上元宏、桜井由紀治、稲生陽】

毎日新聞

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