政府、イスラエル非難 邦人の安全確保急ぐ 中東全域で注意喚起

2025/06/13 18:42 

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 日本政府は13日、イラン国内の核施設などを空爆したイスラエル軍の行動を強く非難し、全ての関係者に自制を求めた。イラン、イスラエルに滞在する邦人の安全確保も課題となっている。

 岩屋毅外相は13日の記者会見で、イスラエル軍によるイラン攻撃について「わが国は事態をエスカレートする今回の行動を強く非難する。中東地域の平和と安定は日本にも極めて重要で、全ての関係者に最大限の自制と事態の沈静化を強く求める」と強調した。核施設が攻撃されたことに関しては、米国とイランの核協議など「核問題の平和的解決に向けた外交努力が継続する中、軍事的手段が用いられたことは極めて遺憾だ」と述べた。

 13日午後5時時点で被害は確認されていないが、邦人の安全確保も大きな課題だ。13日の領事メールではイランに滞在している日本人に対し、一時帰国や出国を望む場合は在外公館に連絡した上で、民間機による早期の出国を検討するよう求めた。引き続き滞在する場合、「不測の事態が生じた際は速やかに安全な地域・場所に退避するなど自らの安全確保に努めてください」としている。政府は同日、イランへの渡航を中止するよう求める注意喚起も出した。

 イスラエルに滞在する日本人にも、イランの報復の可能性があると報じられているとして「シェルターへの避難体制など情報を確認し、安全確保を」と呼びかけた。

 さらに政府は同日、中東全域で注意喚起する広域情報も出した。全域で事態が急速に悪化する可能性があるとして、帰国のための飛行機の運航情報などの確認や安全確保を求めた。

 自衛隊法は外国での騒乱や災害などの緊急事態に際し、邦人の安全確保のために自衛隊を派遣し、輸送することを認めている。最近では、正規軍と準軍事組織が衝突したアフリカ北東部スーダンからの邦人退避(2023年)や、イスラエルと親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘が激化したレバノンからの退避(24年)の例などがある。

 中谷元・防衛相は13日の会見で、「中東地域の情勢を今後とも懸念を持って注視し、邦人保護に万全を期すとともに、防衛省、自衛隊としても、外務省をはじめとする関係省庁と緊密に連携をしつつ、情勢の推移に応じて適切に対応したい」と述べた。

 イラン国内の民間機の運航は止まっており、防衛省は自衛隊機の派遣の可能性も視野に検討に入る見通しだ。【田所柳子、中村紬葵】

毎日新聞

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